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11月23日、韓国が領海とする延坪島に、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が砲撃を加えた。これを契機に今、朝鮮半島黄海領域は軍事的緊張に包まれている。新社会党はこうした事態を憂うとともに、日本政府が事態の平和的解決に向けた、積極的な平和外交を展開するように強く求めるものである。
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朝鮮半島は今だ38度線を境にした「休戦」状態が続き、今でも非武装地帯を挟んで軍事的緊張が続き、領土・領海問題の不確定な部分も残されてきた。今回の砲撃問題が起きた海域は休戦協定では合意が得られず、米国が一方的に線引きした韓国領海とする「北方限界線」と、北朝鮮が領海と主張する海域で起きた問題である。
朝鮮半島の人々は平和を希求し、軍事衝突の回避を願っている。なぜなら38度線で分断されているが朝鮮民族は一つであること。仮に戦争になれば朝鮮全土が火の海になり勝者も敗者もないことを充分承知している。
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現在、6カ国協議をはじめとした対話と交渉が中断される中、不確定な領域である黄海での韓・米の度重なる軍事行動が行われ、他方「先軍政治」路線をとる北朝鮮の対応が今回の事態の引き金となった。
李明博政権は先の哨戒艦沈没事件を利用し軍事演習を行って来た。今回も黄海で艦砲射撃訓練を行い、北朝鮮が文書を含め度々警告を発していた。その結果北朝鮮は砲撃の挙に出た。この砲撃は住民が住む島に向けられ、韓国側に死傷者を出した。いかなる理由であれ、住民を巻き込んだ砲撃は許されるものでない。
事態をこれ以上悪化させないためには、韓国と朝鮮、中国と米国などの相互の対話が今こそ望まれる。いわんや12月1日まで黄海で行われる、米空母ジョージワシントンやイージス艦を加えての大規模な軍事演習は不測の事態を誘発する行動であり、直ちに中止すべきである。また、中国もこの軍事演習の中止を強く求めてもいる。
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今日の朝鮮半島の軍事的緊張に対し、日本がとるべき態度は、今一度憲法の原則に立ち返るとともに、2002年の日朝ピョンヤン宣言の合意の精神に沿った行動をとるべきである。また、平和的解決のための六カ国協議を再開させ、これまでの日朝間の懸案事項の前進をはかることが求められている。
またこれを口実にした日米軍事一体化を強め、朝鮮・中国包囲網を強化すべきではない。また、朝鮮学校の無償化問題を政治的に利用し、その適用を除外する態度は断じて許されない。日本は国際人権規約Aに保障された等しい教育の機会均等の理念を尊重すべきである。
国際紛争に対して、憲法9条を持つ日本こそ平和外交を積極的に展開すべきである。
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以 上 |