トップ > 今週の「週刊新社会」 
 新社会党
2011年6月14日

  脱原発 文部科学省と交渉
     子どもの安全、賠償は?


  文科省への共通要求



 1.文科省原子力損害賠償紛争審議会は、賠償の対象と期間にどのような基準を検討しているのか明らかにされたい。

 情報公開を徹底し、不当な差別と制限を設けず、無制限・無期限の包括的な賠償とすること。

 農林水産業への「風評被害」、個人の精神的被害・差別被害、長期にわたると想定される放射能除去のための土地改良事業など包括的な賠償を基本的な理念とされたい。

 20キロ圏外の自主的避難者のあつかいなど、「自己責任論」による差別を、被災者個人の認定基準にもちこまないようにされたい。

2.子供の安全基準20mSvを撤回し、年間1mSv以下を基準とすること。その基準で学校など子供の関係施設の放射線量低減措置を自治体に委ねず国が講じること。

 表土処理、代替プール借用料、スクールバス通学費用、放射性物質よけのマスク支給等の費用を調査・集約し、自治体や教育施設ではなく、東電の負担とするよう指導されたい。

 


 
文科省には賠償の対象と期間、風評被害などを含む包括的な賠償、20キロ圏外の自主的避難者の扱いなどについて要求。省側は「4月の第1次に続き5月31日に第2次指針を出して賠償対象になるか作業中」と答えた。

 風評被害については「因果関係が難しい問題。専門委員を選び、7月には全体像を示す」との見通しを示した。

 自主的避難者の問題は「蓋然性が高いところ」との見解を述べるにとどまった。

 福島県鏡石町で農業を営む町議の円谷寛さんが実情を訴えた。「ダムや溜池が決壊し、今年は作物が作れない、作って売れるのに出荷停止になる。また、風評被害でどこまで補償してくれるのか、前途真っ暗だ」。

 これに省側は、「風評被害をどう判断するかは1次、2次指針で触れている。集荷制限されていないが売れない、価格が下がり、作業の給与が得られない、安全確認の検査費用がかかるなど原発事故でどういうものによる被害かなど。福島全域、茨城、千葉の一部など少なくとも出荷制限のあった地域は賠償の対象になる」と指針の煮詰まり具合を紹介した。



 情報公開の徹底を
 測定器を全学校に


 文科省関連でもう一つ大きな問題が、子どもを放射能汚染から保護する課題。

文科省に子どもを放射能から保護するよう
求める本池奈美枝さん=6月2日
 党としては、子どもの放射線量の上限を年間1ミリシーベルトとすることを要求。柏市議の本池奈美枝さんらが次々と発言した。

(本池奈美枝・柏市議) 柏は線量が異常に高いホットスポットがあり、市にモニタリングをきちんとやるよう要求した。学校プールの汚泥の数値が高く、子どもには掃除をさせられない。安全な指針を出してほしい。
 また、文科省は学校に『あとみん全国キャラバン』という冊子を配っている。原発の講師派遣、絵や作文をコンクールに出してくださいとか、原発の安全神話が崩れたこの時にこういうことは一切止めてほしい。

(長南博邦・野田市議) 千葉県の東葛地域は1ミリシーベルトを超えている。共産党都議団の調査で近隣の足立、葛飾の線量が高い。このことを認識した対策が必要だ。

(嶋崎英治・三鷹市議)母親が心配で市役所に連日尋ねてくるが、市は測定器を購入していない。文科省として学校の測定器購入を助成し、適切な情報を提供することが必要だ。
 東電や国の発表は大本営発表と誰も信用していない。原発事故に近い地域は何十年と住めないだろう。フクシマから遠い地で住めるように、統廃合校を利用し、生活保護で受け入れるなど指導してほしい。

(山城保男・横須賀市議) 原子力空母が来る前に各学校に測定器を備えた。扱いは簡単。全ての学校に配置してほしい。

(宮川敏一・労働運動委員会委員長)
 福島の飯舘村で京都大学の原子力実験所が調査結果を発表すると、翌日、文科省もそれに近い数値を発表した。実態を公表しなければ風評被害が広がるばかりだ。
 モニタリングについても場所によって測定の位置が違う。何の意味があるのか。

 これに対し省側は「国際放射線防護委員会(ICRP )の標準に専門家の意見を聞き分かり易くするよう努力したい」と応答。全学校への測定器常備の要望には「限られた予算の中で学校だけでなく集中的に」と言葉を濁した。

 原子力の宣伝冊子の配布中止には、「(福島事故で)事態が変わったので新しい情報を入れてと意識している」と返した。モニタリングについては「測定の標準化、ポストの増設に努力したい」と応じた。文科省も「原発維持・推進」が前提で政策の組み替えを発想している。





事業内容のページへ 事業内容のページへ 詳細のページへ 受講申込みのページへ