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 新社会党
2011年6月14日

  厚労省と交渉
     健康管理徹底を


  厚労省への共通要求



 原発作業員の内部被曝の恐れが大きいが、内部被曝に対する検査等を徹底し、健康管理を継続すること。そのため、非正規労働者等の把握を行い漏れがないようにすること。

 また、政府や東電は作業員の命を危険にさらすような拙速な作業指示をしないこと。原発事故をはじめ今次震災に名を借りた不当解雇問題が多発している。国の指導により雇用の安定を図ること。

 


 
福島原発震災を受けて、6月2日の省庁交渉の一環として3時からは厚生労働省に対する新社会党省庁交渉団の要請・質疑が衆議院議員会館で行われた。

 被災に関わる生活保護、原発従事者の健康管理、被災に係る解雇問題等が活発に行われた。質疑は、すでに新社会党から提出されている要求・質問事項に対する厚労省の回答から始まった。



 速やかな生活保護適用を
 作業員を危険にさらすな


厚労省側に被曝の実相をただす新社会党の
メンバー
(厚生労働省社会援護局保護課) 生活保護については居住地または現在地で保護を適用することになっている。今度の場合はその避難所等を所管する自治体が保護を適用することになっている。今回震災を受け、担当以外の方も避難所等で受付するに当たって、誤った取扱いにならないように基本的な取扱いを徹底するために3月17日に通知を出した。

(嶋崎英治・三鷹市議) 南相馬市の漁師さん(78歳、75歳の夫婦)が三鷹市の縁戚を頼ってきたが、実際どこに保護を求めたらいいのかわからない。民生委員を通じて保護申請したら前例がないと断られた。とくに仕事をなくし、家をなくし、家族まで奪われている、そこに思いを致し、適切に生活保護を受けられるようにしてほしい。

厚労省) 申請について通常生活保護の場合、活用できる資産を保有している場合、それを処分して生活費に充ててもらう。しかし、車で避難してきた方、またその車で居住地に戻る、行方不明の家族を捜すなど、車を使われることを想定して、弾力的に、過渡的には非活用の資産と評価をして、その方が生活に困窮していたら、適用するようにしている。

(本池奈美枝・柏市議) この間、不況で生活保護が大変多くなっているが、柏市にも今回の震災で70世帯が福島から避難されている。仕事の斡旋はしているがなかなか見つからず、生活保護適用になる。自治体の負担が震災で相当に増えている。全額を国で負担するべきではないか。

(厚労省) 国としては、地方財政の都合で、保護の申請を拒否したりすることがないように、資産活用など弾力的な取り扱いで支援していきたい。


(雇用均等・児童家庭局保育課) ご指摘の基準については、子どもたちが年間20ミリシーベルト浴びていいということではない。できる限り放射線量を減らすということが重要だ。
 当面、年間1ミリシーベルトを目指して取り組んでいる。そのために、線量計の配布、土壌の入れ替えなど財政措置についても文科省と協力しながら検討を進める。

(労働基準局労働衛生課) 原発作業員の内部被曝の恐れは非常に高くなっている。法律的には外部被爆線量と内部に取り組んだ放射性物質の測定量を線量に換算してその和をとって線量管理をしていく。3カ月に1回というのが法律上の要求だが、これをもっと頻度を高めようと再三指導している。
 内部被曝量を全員確実に測定をして、過大放射線量被曝にならないようにしている。昨日現在、延べで70 00人ほど従事しているが、1800人が測定されたと聞いている。
 2カ月以上経つなかで、未だ4分の3が行われていない。測定が進んでいないことは非常に由々しき問題だと思っている。こういったなかで、福島第一原発作業員健康管理等対策推進室をつくり、作業員の健康管理を緊急災害のなかでデータベースで管理していく。
 労働条件政策課震災を理由とした無条件の解雇、雇い止めなどは無条件に認められない。今、事業主に向けてのパンフレットを作成し、解雇や雇い止めのルールについて積極的な周知に努めている。
 パンフレットを活用して適切な労務管理や雇用調整助成金の活用方法について十分な説明を行うとともにルールの徹底を指導している。また大臣から主要経済団体に対し、雇用の維持を強く要請したところだ。

(斎尾和望・広島) 今回新しい被曝者が生まれた。福島から避難された方たちが全国に散らばり、この方たちは直ちに健康に害はないと毎日言われているが、これはいつか将来被害が出るかも知れませんよと言うことの裏返しだ。
 その方々をすべて、たとえば被爆者援護法にあるような被爆者手帳のようなものを発行して、どこで検診しても無料でできるように厚労省で考えてほしい。被曝者を管理することは厚労省の大きな任務だ。
 また、避難されている方々の国籍は把握されているのだろうか。被爆者援護法自体には外国人を差別する条項は一切ないが、しかし永年差別してきた。
 避難された全ての人に避難者手帳を配布して、将来の健康管理を目指すという方針を出してほしい。

(厚労省) そのことは伝える。原発作業員データベースをつくるという発想は、まさに手帳で管理しようということと非常似ている。

(宮川敏一・労働運動委員会委員長) 徹底して厚労省として労働者を守っていく姿勢を明らかにしてほしい。内部被曝の検査の方法にホールボディーカウンターがあるが、もう一つ排泄物の検査で一層内部被曝が分かると思うが、指導しているか。
(厚労省) 内部被曝の検査の方法にバイオアッセイ(排泄物を調べて中に含まれているものをこまかく見る)もあるが、ホールボディーカウンターに比べればバイオアッセイは難しい検査だと聞いている。
 全員に対してやるということは難しい。高線量の被曝を受けた場合は必ずやる必要があると思う。行わない場合は法令違反だから厳しい態度で臨む。

(栗原君子委員長) 専門家を結集してこれに当たることが必要だと思う。
 今まで原発の賛成の声は表に出てきていたが、慎重論はつぶされてきていた。これを機に謙虚に幅広い声を聞いてほしい。専門家の結集はどうなっているか。

(厚労省) 本当に学術的な問題についてはその都度専門家の方々のお力を拝借しながら当たっていくべきだと思う。

嶋崎英治・三鷹市議) この震災を口実に解雇が起きている。しかも震災地域でないところでもある。計画停電で出社しないでいいといって解雇されたという例もある。そういう事実はつかんでいるか。

(厚労省) 労働基準監督署でも、震災が理由だけでの解雇は当然あってはならず、個々の事案についてしっかり現場で対処する。

 交渉は最後に松枝佳宏書記長が、労働問題は山積しているが、未だ集約できていない。懸案を整理し今後とも折衝を重ねると結んだ。





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