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 新社会党
2011年1月1日

  2011労働運動展望
    労働者意識を高める
            『社会通信』編集人  滝野 忠     


 政治でも、労働運動でも「展望を見いだせないんですよね」との声が大きくなっています。最大の要因は「新しい社会」をつくる歴史的使命を持つ労働者が国民の80%超を占めるそんな社会構成になったのに、労働者意識が、企業の労務管理と権力機構にすっかり取り込まれてしまったマス・メディアの宣伝ですから、新しい年2011年の展望を切り拓くには、「働くすべての者」、とりわけ労働生産過程で働く労働者の思想的・文化的前進を勝ち取るための努力が問われます。

 そのための条件はあふれる出るほどに成熟しているのです。「1047人首切り撤回」国鉄闘争は23年間の闘いのなか、新たな段階への歴史的展望を切り拓きました。労働運動再建への重要な一歩として、国労闘争団員・家族の仲間が、なぜ23年間もの間一糸乱れぬ団結で闘い続けられたのかを、しっかり教訓化しましょう。

       ◇

 労働者の意識が「眠らされている」とは言いながら、労働運動をめぐる情勢の特徴は、労働運動に関する諸原則の正しさを生活が全面的に明らかにしていることです。

 第1は財界と御用組合幹部が1955年以来、一貫して押し進めてきたウソの理論、生産性三原則に基づく生産性向上運動論が完全に破綻していることです。「賃金はピーク時(1997年)から10%以上低下」(連合)、「日本の労働者の賃金は、09年には前年より23万円(5・5%)減少」(全労連)。

 第2は独占資本がその担い手である「世界競争」、「新自由主義と冠をかぶせられた自由競争」、「規制緩和」が労働者ばかりか勤労諸階層、地域社会を窮乏と荒廃の極地に追い込んでいることです。期待され政権についた民主党でしたが、わずか1年にも満たない間に、支配層=財界の一員であることを暴露し、苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)時代突入も必至です。

       ◇

 大きく前進しているのが企業内組合からはじかれた熟練労働者、大企業の非正規社員・小零細企業労働者を地域から組織化し、労働者の尊厳、民主主義を否定する資本主義を告発し、労働運動再生を目ざすユニオン運動です。

 その発展ぶりは日本経団連が、恒例の労働フォーラムで、ユニオンに焦点を当て、@パート・契約社員等の活用をめぐる留意点、A合同労組・地域ユニオンの対応策、B争議行為・情宣活動に対する対応の理論と実務、C妥協協定時の留意点をそのテーマとしたことにも明らかです。

 地域ユニオンは「派遣」に象徴される不安定雇用労働者の大群、「産業予備軍」の存在、資本主義が構造的に生み出す格差を明るみに出し、社会のあり方を問う運動とも結びつき始めていることが重要です。もっと強く大きく広くやりぬかねばなりません。

 と同時に、なぜ失業が増え雇用が奪われ続けていくのか、若者の失業率がとりわけ高いのはなぜか、非正規労働者・不安定雇用労働者群が生まれ来る原因は何か、さらにはなぜ繰り返し恐慌が起こるのか、恐慌は何によって克服されるのかといった資本主義の根本問題の学習と宣伝が強められていいのではないでしょうか。



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