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2011年2月1日 |
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財界の妄言
「雇用も賃金も我慢しろ」「派遣規制は雇用の縮小」 |
「日本経団連 経労委報告」を斬る
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自らの職場と公共交通維持に立ち上がった航空連の
人たち=1月3日、羽田空港 |
日本経団連は1月18日、2011年春闘で経営側の春闘方針となる『経営労働政策委員会報告』(以下「報告」)を発表した。報告では、「企業の景況感が悪化し、生産の回復の勢いを弱めている」として、いつものように危機意識を煽り、「円高傾向から海外移転の増加は、国内経済にとって最悪のシナリオは避けられない」と国内空洞化を肯定している。
雇用についても失業率が5%台の高水準にあるにもかかわらず、雇用の過剰感に言及している。賃金決定については、「横並び賃金を話し合う春闘は終焉しているが、その意識は浸透していない」と賃上げ要求を否定する。「今後は労使が一体となって国際競争に打ち勝つ労使交渉が期待される」など、経営側の見解を押しつける。
賃金カーブ(定昇確保)についても、検討課題にして賃下げも視野に入れている。経団連がスローガンにする「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」の本音は、「雇用も賃金も我慢する」交渉を迫っているのだ。
通年の労使協調を迫る
1.国際競争力の項では、円高の進行は海外への生産比率を拡大しているとして、国内経済は最悪のシナリオが現実となっていることをあげ、法人税減税・TPP促進などを視野に入れた税・財政・社会保障制度を国民負担で払拭しようとしている。
2.民間主導の活力による成長力の強化の項では、「企業活動が、わが国の経済成長の原動力、企業は経済成長の牽引車であり、国民生活の基盤作りに欠かせない役割」と自画自賛する。法人税税率引き下げは当然であり、まだ国際競争力を維持・強化するには、まだ法人税は高いと言及する。
3.最低賃金引き上げ問題の項では、「労働市場の柔軟性を損ねる規制強化などとならび、最低賃金の引き上げがある」として、そこで働く雇用を危うくする。また、特定最賃(旧産別最賃)も地域最賃を大幅に引き上げることで廃止すべきと主張する。年収200万円に満たない生活の窮状を放置する経営側の冷酷さが見える。
4.全員参加型の雇用社会の実現に向けての項では、製造業務派遣の原則禁止などが、生産拠点・体制の見直しに与える懸念と結果として労働者派遣の活用を減退させ、雇用機会を縮小するなど経営側の論理を押しつける。
5.今次労使交渉に対する経営側の基本姿勢の項では、グローバルな競争市場における厳しさを労使が共有して、国際協力を高める方策を協議しようと迫っている。横並びの賃金決定は終焉しており、労使パートナーシップの対話が今日の春闘であり、通年でもその機会を増やしたいとする。春闘は対決ではなく労使がパートナーシップになって、話合いの場にする労使協調を迫る。
6. 「同一価値労働同一賃金」に対する考え方の項では、熟練度、責任の見込まれる役割は無視できないとしながら、年功色を残さず意欲と能力(成果主義)を基軸にしている。総額人件費管理においても、賃金カーブの再検討が求め、年功序列賃金の撤廃を考えている。
7.内部留保の取り崩しによる賃上げ論の不合理性の項では、「企業が内部留保を財務体質の改善強化と、将来の成長を目的として活用する」「設備や研究費などに投資することで事業の維持・発展させるもので、その確保は企業の発展に不可欠なもの」として、内部留保を蓄えて何が悪いと開き直り、内部留保の取り崩しで賃上げなど論外と吐き捨てる。
8.賃金決定の判断基準の項では、「一時的な業績変動があった場合には、賞与・一時金に反映させることが基本」と例年の主張を繰り返し、「わが国の賃金水準は競合する国や地域と比べて高く、日本を100にすると韓国=58、台湾=31となっている」など経営側に都合の良い数字を並べる。
労働側は1997年ピーク時の賃金水準に戻す要求と、1%を目安にした処遇改善要求には無理がある。報酬額の低下はデフレの定着や企業競争の低下が原因にあり、水準ありきの主張は誤りであると切り捨てる。また、2009年、2010年のベースアップ率は0・03%であり、1%の処遇改善要求は極めて厳しく、賃金より雇用を重視して考える必要がある」として、総額人件費の増える要求は受け入れようとしない。
11.最後に、「労働分配率は賃金決定の基準にならない。株主配当・役員報酬は、賃金に比べ高すぎる見方は誤りである」など、企業の取り込む利益を賃金に回すことはできないと繰り返す。
横断的共闘で春闘勝利を
春闘は、力対力の対立で賃上げ要求をしなければ勝利の展望は見えてこない。職場、地域から労働者の怒りを組織して、個別交渉から横断的な共闘づくりをめざすことが2011年春闘勝利の課題となる。
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