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 新社会党
2011年2月1日

  JAL146人が集団提訴
    整理解雇四要件を守れ


記者会見に臨む前列右から金澤全労協議長、近村
航空連議長、宇賀地乗員組合委員長、山口原告団長、
内田CCU原告団長、山口弁護士=2月19日、東京都内で
 昨年12月31日、JALに不当解雇された146名(パイロット74名、客室乗務員72名)は1月19日、更正会社株式会社日本航空インターナショナルの片山英二管財人を相手取って、解雇無効の裁判を東京地裁に起した。

 記者会見で、原告団は「この度のJALの整理解雇は今日法理と確定している整理解雇4要件を覆す無謀・非道なものであること、JALの再建が安全性と公共性が後回しにされ、金融機関の利益保護最優先で行われていること、JALの経営破綻の原因を明らかにすること」を裁判を通じて行うことで不当解雇撤回・原職復帰を勝ち取ると決意表明した。


 19日提訴を終えたJAL不当解雇撤回裁判原告団は、記者会見を午後から東京都内で開いた。記者会見には近村一也航空連議長、宇賀地竜哉日航乗員組合委員長、金澤壽全労協議長、山口泉弁護団長らと一緒に山口宏弥JAL不当解雇撤回裁判原告団長(B777機長)、内田妙子JAL客室乗務員組合(CCU)原告団長=同労組委員長らが出席した。

 そして不当に指名解雇されたパイロット、キャビンアテンダントが後ろに並び、それぞれの発言に大きくうなずくとともに闘う決意を明らかにした。

       ★

 原告団は、整理解雇4要件(@高度な必要性、A回避努力義務、B人選基準の合理性、C労使協議手続き)に基づいて逐次反証した。

JAL闘争支援の国民共闘集会右
 @については人員削減の合理的な理由はなく人員削減の必要性がない。経営危機の原因は経営が原因であり社員に責任はないと、安中俊夫常務取締役が09年11月に明言している。また、経営危機の原因はゆがんだ航空行政にあること。さらに、人員削減目標の設定に客観的合理性がなく、営業利益1460億円を計上し、業績は計画を大幅に上回っていて、更生計画の実行のために人件費削減の必要性がない、また、設定された人員削減目標を超過達成している。

 A希望退職募集の様々な制限を加え、組合の提案したワークシェアなどの解雇回避措置を一切執っておらず、はじめに解雇ありきの状態である。

 B選定基準に病気欠勤、休職を基準とすることは、航空機運航業務の特殊性などからみて合理性がない、さらに年齢を基準にすることは良質なサービス・安全の確保のためには何よりも経験がものを言う航空運行業務の性格などから合理性がない。また、年齢基準とする選定は実際には労働組合の活動家が選定される基準であり、恣意性を排除する基準ではなく、ねらい打ちの基準である。

 C労組との協議は結論の押しつけに終始していて労組の意見や提言に耳を傾ける姿勢に全く欠けていた。希望退職募集の当初から解雇対象者をすでに選定し、その者の勤務を取り上げ、退職を強要する希望退職募集の実施方法が不当であった。

 さらに組合の争議権の確立等に対して、争議権を確立すれば支援機構は3500億円の出資はしない、更生計画は認可されないなどと恫喝する支配介入の不当労働行為を行った。

 近村航空連議長は経過説明のなかで「更正会社は整理解雇4要件を守らないで、雇用はどうでもできるというような振る舞いは絶対に許し難い行為だ」「私も1985年の御巣鷹山事故を経験し、それ以後日航では全損事故が発生していない。経営統合した旧日本エアシステムの花巻空港の事故でも機体は全損したけれども的確な客室乗務員の誘導でお客様の命は一人たりとも奪われていない。

 そういう情況がこれまで保たれてきたのは現場の人間がきちんと言うべきことは言う、ということがこれまで担保されてきたからだということを実感している」と力説した。

 原告代理人の山口弁護士は「90年代から日航乗務員組合に関与していたが、その中で彼らが一貫して主張していることは、もちろん自らの雇用や労働条件を守ることもあるが、運行の安全を守ること、公共交通機関として利用者・国民のためにあるべきJALとなっていくことを目指して取り組んできている。

 今回の整理解雇は安全運行を堅持していくためにも絶対に許されない、このようなやり方が行われていればいずれ大きな事故に結びつくことも十分考えられる。安全を守り公共性を守るためにこの闘いに立ち上がったことを十分理解していただきたい」と述べた。



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