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 新社会党
2011年2月22日

  荒廃する雇用と暮らし
    増え続ける非正規労働  中間層が低所得者層に


 連合の春季生活闘争の闘争開始宣言集会が2月10日、東京都内で開かれた。労働者にとって11春闘はまさに正念場を迎えている。ますます広がる雇用の不安定と賃金の実質的目減りは労働者・家族の生活を不安に陥れている。自らの生活とその不安定さの実態を見つめ、闘いに立ち上がろう。

 不安定雇用が急増

 総務省統計局の労働力調査(平成22年12月分=速報値)によると、完全失業者数は298万人で、前年同月に比べると19万人の減少で、7カ月連続して減少しているとされている。完全失業率は4・9%、前月比0・2ポイント低下した。

 雇用形態をみると、正規の職員・従業員数は3363万人、非正規の職員・従業員は1775万人で、それぞれ7万人減、32万人増。非正規職員等は全雇用者(役員を除く)の34・5%で対前年比の、0・4ポイントの増になっている(22年9月現在)。

 さらに大学新卒者の就職活動の早期化、長期化も始まり、今年の4月の大卒者の就職内定率も70%を切り、高校生は70・6%で、過去最悪の下落幅を記録した前年同期(68・1%)を2・5ポイント上回っているが、その不安定さは変わらない。就職氷河期の再来といわれている。

 これは企業が景気の先行きに不安を感じ、労働力の調達を原料・部品の調達と同様に考え、生身の人間が具有する労働力の特殊性を顧みず、企業の社会的使命を配慮していない結果だ。

 合わせて若年労働力を考える時に、高校の競争、差別化を進める教育行政の影響は深刻だ。中途退学者が続出し、人としての成長が阻まれ、孤立化と引きこもりやニートと呼ばれる若者が生まれて久しい。彼らは落ちこぼれのレッテルを貼られる。少子化社会で大きな損失だ。

 さらに労働者派遣法改正も企業の峻烈な反撃で風前の灯火。非正規労働者は一向に減少する気配はない。

 
賃金低下で生活破壊



 2009年中に民間企業で働く労働者のうち、年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が1100万人に迫り、就業者の4人に1人となっていることが明らかになっている。

 ワーキングプアが1000万人を超えるのは4年連続だ。さらに年収100万円以下の層は08年に前年比16万9000人、09年にも15万8000人増え、399万人になった。

 99年から09年の給与所得者数の増減を年収階層別にみると、300万円以下の低所得者層が急増し、とくに200万円以下の層は296万人の増加した。さらに300万円超、2000万円以下の層は激減し、2000万円を超える富裕層は増加した。多くの中間層が低所得者層に落ち込んだことがうかがえる。

 最低賃金は年々わずかながらに上がっているとはいえ、全国平均で713円(時給)という段階で、安定した暮らしには不十分だ。

 こうした事態から昨年10月に生活保護を受けた人数は、196万4208人と厚労省が発表した。これは1951年度以降過去3番目の高水準。世帯数では過去最多を更新し、141万7820世帯になった。これは前月より9413世帯増で、前年同期比では約13万6000世帯の増加だ。

 このような生活不安はさまざまな家族・生活崩壊を生み出している。
 ひとつが、自殺だ。2010年1年間の全国自殺者は、前年より1285人減ったとはいえ、3万1560人にのぼっている。男性2万3472人、女性9373人だ。

 また、ひきこもり者が増え、70万人とも言われ、潜在人口も155万人と推計されている。

 児童虐待も児童相談所への虐待通告件数は10年で13倍にも上り、異常な社会的背景を物語っている。虐待は身体的虐待が43%、ネグレクト(育児放棄)37%が多く、被虐待児の年齢は全体の半数近くが就学前の乳幼児だ。社会的無関心が増長している面もあり、死亡例も新聞を多く賑わしている。



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