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 新社会党
2011年9月13日

    JAL再建′沛リシンポ  大阪
    稲盛イズムで危険な空に


 「JAL再建1年の検証シンポジウム」が8月30日、大阪市内で開かれ、100人の市民・労働者が参加した。主催は関空プロジェクト会議と民主法律家協会。

 航空連・和波宏明事務局次長からJAL165名の解雇の経過から裁判の目的、整理解雇の四要件の具体的チェックと会社側の主張点、JAL破綻の原因と再生の方向性、解雇撤回闘争の広がりと今後の活動予定について分りやすく基調講演がされた。

 昨年JAL再建を掲げて鳴り物入りで会長に就任した京セラ創業者・稲盛和夫氏は、「京セラフィロソフィー(哲学)」ならぬ「JALフィロソフィー」で労働者の思想転換教育を強引に進めている。稲盛は「利益なくして安全なし」とうそぶき、空の安全、旅客サービス、働く人の生活を切り下げ、1800億円という史上最高の収益を上げた。ILOも重要案件として、団結権の侵害を大問題ととらえている。

 「極悪三者会談」という民法協弁護士4名の寸劇が傑作だった。貫禄十分の「麦森」会長らが管財人・社長・出入り記者とビールで乾杯のコンパ(京セラはコンパが名物)をして本音を出し合うという構成。

 「JALを儲かる会社に」という寸劇看板のもと、なじみの記者に発言を注意されても、「新興宗教でもええがな。金儲けできれば」という会長発言の落ち≠ヘ今後、全国で催されるだろう劇のため、伏せておこう。

 パイロット、キャビンアテンダント、整備、グランド・ハンドリングの職場からの報告・告発が、迫力あるものだった。稲盛会長の下、労働条件悪化や賃金・退職金の急激な低下とともに、空の安全が大変脅かされていること、JALのやり方がANAなど他社にもおよび「戦国時代だ」とANA社長は叱咤しているとのこと。

 CCU (キャビンクルーユニオン)の原告の小森啓子さんは「4日前、バンコックからの便で『今から台風の中を突っ切る。迂回するとガソリン代が20万円余分にかかるので』と、すべてお金で計算され安全がないがしろにされている」と、まさしく「京セラのアメーバ方式」という小グループ単位ですべて損益計算され会社の儲けを上げる方式が浸透している様が浮き彫りにされた。

 JAL原告団の報告で機長だった森本則文さんからも「JALフィロソフィーで締め付けられ、この前もまじめな機長が22歳の女性の部屋に裸で侵入するという事件があった」と、かつて自殺者が相次いだ京セラと同じような状況になっていることを報告。そして同氏は「ジャンボ機を売り払い、不採算路線は全廃し、賃金を一律3割カットなどで半分近く下げたら別に『経営の神様』でなくても1800億円儲けられる」と、156人の首切りで浮く14億7000万円はごくわずかであると報告。

 4回ずつ急ピッチで進行している解雇撤回裁判も、ついに9月30日に稲盛証人を決定した。(JAL争議京都支援共闘・稲村)



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