昨年11月26日の政府主催「官民対話」の席上、経団連の榊原定征会長は「設備投資を今後3年間で10兆円増やし80兆円は見込める」と述べた。さらに賃上げについても「今年を上回る水準を期待する」と表明。見返りに安倍首相は16年度からの法人実効税率を20%台に引下げることを予算化した。
この日の前々日と前日にわたり経済産業省の幹部がひそかに経団連を訪問し「何らかの数字を出さないと税制改正で戦えない」と入れ知恵したという。
新春インタビューで榊原会長は記者団に「政権に近すぎるとの指摘もある」と問われ、「極めて不本意だ。国内総生産(GDP)が1円も増えない時代が20年続き、墜落しようとする飛行機のような日本経済を立て直そうとする安倍機長を批評している場合か。政府から賃上げや設備投資の要請があった場合、できるはずないと伝えることが国のためになるのか」と反論。だがこれってアベノミクスの失敗を認めたことにならないか?
しかも先述の官民対話後の彼、設備投資80兆円発言は「確証があるわけでも何でもなく、企業として意気込みをもっているということ」「16春季労使交渉ではベースアップを意識した指針にはしない」と本心を露呈。
ところで彼の出身企業である東レグループは海外14カ国に生産拠点を設け、14年度の売上高比率は海外が日本国内を上回っている。さらに2020年までに米国に1000億円を直接投資するが、無論これはGDPに加算されない。韓国や仏、伊国などから勲章を授与されるも、国内での設備投資計画は今のところ無いようだ。(影)
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