新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 経済
  4. 2016.05.31
2016.05.31
企業のため、GDPのため
1億総活躍プラン


 政府は5月18日、「1億総活躍プラン」など名目GDP600兆円の実現に向けて4つの計画を一斉に発表した。他の3計画は産業競争力会議の成長戦略、規制改革会議の答申、経済財政諮問会議の「骨太方針素案」。「新3本の矢」(GDP600兆円、希望出生率1・8、介護離職ゼロ)を目標に1億総活躍プランと成長戦略を具体策に「骨太方針」に流し込む仕組みだ。
 「矢」と「的」が入り組み、同じような政策メニューでごった煮状態。財源の手当てがなく、失速気味のアベノミクスを再点火するものとはマスコミの評価だ。国会会期末を控え、G7(伊勢志摩サミット)向けのアピールと同時に、参院選へ国民の期待を高めるカンフル注射と一石二鳥の政治効果を狙ったものといえる。
 「1億総活躍プラン」は安倍政権の25年度までの中期的経済政策だ。焦点は「戦後最大の名目GDP600兆円」の実現。それには「成長の果実あっての分配」という見地からの好循環メカニズムの創出が鍵。その「隘路」は少子高齢化にあり、現役労働者の活用はもとより、女性と高齢者を企業の生産性向上に取り込むこと。これが「1億総活躍社会」=「全員参加型社会」実現の肝。
 20年度の賃金総額を20・5兆円増、消費支出13・7兆円増を目標に子育て支援、介護支援、高齢者雇用の促進、非正規労働者の待遇改善という労働政策が中心。マンパワーの再活性化抜きに企業の利潤拡大もGDP拡大もない。安倍成長戦略の秘密は労働者の強搾取の拡大実行だ。
 1億総活躍プランは同一労働同一賃金の実現、そのために労働契約法・パート労働法・労働者派遣法の「一括是正」、最低賃金の1000円目標、長時間労働の是正、時間外労働規制の「再検討」、65歳までの定年延長など、労働側の要求を先取りした政策が並ぶ。
 子育て・介護では保育士の賃金を17年度から6000円(経験者は4万円)引き上げ、介護職員の賃金を月平均1万円程度引き上げる。若者向けには給付型奨学金の検討、結婚支援などひいき目に見て良いとこ取りだ。
 この「働き方改革」には「企業あっての労働者」が貫かれている。成長戦略にも「20年度までに生産性伸び率が10%程度の成長企業を全国で1万社創出」し、「TPP等の事業規模を年間21兆円位に拡大」と明記。また、規制改革は「イノベーションの喚起」が柱。東京五輪を想定する「民泊サービスの促進」はその一つだ。
 これらの政策を財政的に束ねる「骨太方針」は、管轄財務省らしく、17年4月の消費税10%への引き上げが前提。マイナンバーの整備も書き込んだ。


 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ