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2016.07.05
高浜原発1、2号機停止が継続
大津地裁 関電の申立てを却下「市民感覚に沿った判断」


 大津地裁(山本善彦裁判長)は6月17日、関西電力が高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差止めを命じた大津地裁の仮処分決定(今年3月9日)を不服として、仮処分の効力を一時的に止めるよう求めた執行停止の申し立てを却下した。
 3月の差止め仮処分決定を出した山本裁判長が執行停止の審理も担当し、決定理由で「福島第一原発事故の原因究明は道半ば。新規制基準に適合したこと自体で、安全性が確保されたとは言えない」と指摘。新規制基準で原発の規制がどう強化され、関電がどう応えたかの説明が引き続き不足しているとして、「執行停止を認めるべき事情はない」とした。
 関電は申立てで「決定は科学的、専門的知見を踏まえない抽象的な不安、危惧にすぎない」と批判し、「原発停止で一日3億円の著しい経済的損失が生じる」と訴えた。仮処分の取消しを求める異議も地裁に申し立てているが、2基とも当面、法的に再稼働できない状態が続く。異議審の審理は終結しており、決定は7?8月頃に出る見通しという。
 3月の大津地裁の仮処分決定は滋賀県の住民29人の訴えを認めたもので、今回の決定について住民側代表の辻義則さん(69歳) は「脱原発を望む滋賀県民、市民の期待に応える決定だ」と喜んだ。
 また、原告・弁護団は却下決定について「市民感覚に沿った真っ当な判断というべきであるし、原子力規制委員会や事業者が再稼働に向けて闇雲に前のめりになっている姿勢に対して強く警鐘を鳴らすものと評価できる」などとする声明を発表した。
 
 高浜3、4号機の再稼働を巡る経過
 
 高浜原発3、4号機は1985年に営業運転を開始し、避難計画策定が必要な半径30`圏には福井県ばかりでなく、滋賀県や京都府の一部も入る。
 福島原発事故後に再稼働や運転の是非が争われた裁判では、福井地裁が昨年4月に再稼働差止めの仮処分決定を出し、昨年12月に別の裁判長が取り消した。滋賀県の住民らが大津地裁に申し立てた仮処分は14年11月に却下されたが、再稼働を控えた昨年1月の申立てで今年3月9日に運転差止めを決定。関電は翌10日に稼働中の3号機を停止した。


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