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2016.08.16
秋の政局
賃金引き下げの同一労働同一賃金


 「政権奪還から3年半、経済優先で取り組んだ」「中小企業の倒産は3割減少し、雇用は110万人増やした」「正社員を26万人増やし、8年ぶりに増加させた」「有効求人倍率が史上初めて、47都道府県のすべてで1倍を超えた」「今世紀最高水準の賃上げも3年連続で実現した」「国民の総所得を40兆円取り戻した」などと安倍晋三首相は参議院選挙でまくし立てた。
 しかし、国民に経済効果の実感がないと見るや「アベノミクスはまだ道半ば、これからエンジンのギアを2段も3段も上げて前進して行く。まちがいなくに切り替え、野党をたたき、安倍政権を自画自賛する。
 その経済対策の中心に据えるのが「労働分野に人材を移す労働改革」だ。@時間ではなく成果で評価する「脱時間」制度の新設、A裁量労働制の拡大、B解雇の金銭解決導入。
 「ニッポン1億総活躍プラン」で十把一絡げに労働法制の改悪まで完成させる狙いがある。そのために目先を変えて、@同一労働同一賃金、A最低賃金1000円、B長時間労働の是正などの期待感を煽る。私たちは、「1億総活躍プラン」に潜む労働法制改悪の思惑を粉砕する隊列を構築しないといけない。
 秋の臨時国会は、9月26日に召集される公算が高く、12月上旬までの、会期75日間となる見通し。議題は、TPPの条約承認を求める件とその国内実施法案。そして、憲法審査会で、憲法改正発議に向けた審査が始まる。
 政府が8月2日に閣議決定した「28兆円超(財源は赤字国債)の経済対策の働き方改革、産業構造改革」に「人材を移す労働改革」は抜けている。経済界は有効求人倍率が1倍を超えていることから、「労働者に痛みを伴う改革の好機」だとして労働法制改革を政府に迫る。安倍政権の本丸は改憲であり、財界を引きつける工作で2悪法案(残業代ゼロ法案・解雇の金銭解決)の成立に力を入れる。
 だから、同一労働同一賃金、最低賃金、長時間労働の是正など1億総活躍プランを使い「欧州並み賃金」「1000円を目指す」などの期待感を振りまいている。
 安倍政権の腹は見えている。7月19日に経団連が発表した「同一労働同一賃金の実現に向けて」で欺瞞は明らかだ。全体の賃金を引き下げる「日本型同一労働同一賃金」を完成させようと、私たちの求める「生活のできる賃金水準」を反故にする。賃金は成果主義、雇用は経営の調整弁と位置づけ、財界の思いを100%取り入れ、労働者の期待をもてあそぶ労働法制の改悪。
 労働法制改悪は来年の通常国会まで持ち越される可能性が高く、本腰の反撃準備が必要だ。


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