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2016.12.12
甲状腺がん子ども基金
10万円支給へ


 療養費15都県25歳以下に国の支援ないため


 子どもの甲状腺がんが福島県を中心に周辺でも増え、親子で孤立し、診察や通院で経済的に追い込まれたり、進学や就職、結婚などで壁に突き当たったりする深刻な状況に置かれている。国は、「原発事故子ども・被災者支援法13条3項」(注1)で医療支援をすることになっているが、未だ実施されていない。
 そうした中、東京電力福島第一原発事故に関連して甲状腺がんの子どもを支援する「3・11甲状腺がんこども基金」(代表理事=崎山比早子・元国会事故調査委員会委員)は事故以降に甲状腺がんや、その疑いがあると診断され、福島県など1都14県に住む25歳以下の患者らに療養費10万円を支給する。
 「手のひらサポート」と銘打った療養費給付事業は崎山代表理事らが11月28日、東京都内で記者会見して発表したもので、第1期は12月1日から来年3月31日まで応募を受け付け、基金の審査を経て給付する。4月以降も応募を受け付け継続する。症状の重い患者には追加でさらに10万円支給する。
 給付対象地域は、原発事故で出た放射性ヨウ素の拡散モデルなどを参考に岩手県から長野県に及ぶ。基金では経済的支援に止まらず、患者の治療環境と生活の質(QOL)の向上などにつなげていくことを目指している。
 「基金」は医師や弁護士、専門家などによって今年7月に設立された非営利団体で著名人ら呼びかけ人60人、賛助会員200人が登録されており、寄付や入会を募っている(注2)。呼びかけ人には作家の落合恵子さん、俳優の中村敦夫さん、賛同人には俳優の吉永小百合さんらがいる。9月に設立と寄付の呼びかけを行い、2カ月で2000万円の寄付が集まった。
 
 注1 国は、被災者たる子ども及び妊婦が医療(東京電力原子力事故に係る放射線による被ばくに起因しない負傷又は疾病に係る医療を除いたものをいう)を受けたときに負担すべき費用についてその負担を減免するために必要な施策その他被災者への医療の提供に係る必要な施策を講ずるものとする。
 注2 「基金」の問合せ先080(3757)0311

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