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2016.12.27
国鉄「分割・民営化」の破綻
JR北海道1237`廃線へ


  JR北海道は11月4日、北海道の全28線区が赤字と発表し、11月18日には「単独維持が困難な線区」として根室線の富良野?新得間を含む10路線13区間(1237キロ)を(廃止を前提に)「バスなどへの転換」を発表した。これは全路線の約半分に及び、廃止されると北海道の鉄路は、明治時代に逆戻り(函館本線が旭川につながった明治38〈1905〉年の状態)となる。道北、道東の地方崩壊に直結する北海道の大きな問題であり、公共交通機関・鉄道の役割が改めて問われている。
 JR北海道は、相次いだ事故や不祥事を受けて安全投資と修繕費が多額となり、今夏の台風被災の影響もあり、発足以来2017年3月期予想で最悪の235億円の赤字になると発表。路線廃止後のバスへの転換や、駅や鉄道設備などを沿線自治体など公的機関が所有する上下分離方式などへの移行の説明に対し、各自治体は路線存続を訴え反発している。
 JR北海道の赤字は初めから分かっており、国はJR北海道に6800億円の「経営安定基金」を付け、利子運用させた。しかし赤字は膨らみ、経営悪化は減便、駅の無人化、サービス低下を招き利用者は減少している。
 国鉄分割・民営化の結果である。国鉄労働者の首を切り、安全輸送の原点を見失った事故、不祥事も相次いだ。1986年の国鉄山陰本線・余部鉄橋事故は、安全第一の国鉄から儲け第一のJRを予感させた。2005年のJR西日本の福知山脱線事故(死者107名、重軽傷者555名)は象徴的だ。
 JR北海道でも1994年の根室本線・特急脱線事故(故障の風速計を放置、猛吹雪の中、停止させなかった)から石勝線・特急脱線炎上事故、函館本線・貨物列車脱線事故、レール幅検査データの組織的改ざんまで起きた。
 1987年4月、国鉄が6つの旅客会社と貨物会社に分割・民営化され、JR7社となった。当時の自民党政権・中曽根康弘首相は、分割反対の仁杉巌国鉄総裁を更迭し、空前の全国3300万の反対署名も無視した。
 自民党・石破茂前幹事長はJR北海道の事故に対し「電化率が悪く、重いディーゼルカーが古い軌道をぶっ飛ばして走っている。事故が起きない方がおかしい。誰が経営しても無理だ」と抜け抜けと語っている。
 中曽根首相は、国鉄分割・民営化の狙いを「国労が崩壊すれば総評も崩壊するということを明確に意識してやった」と公言。この不当な中曽根発言は「鉄建公団」(旧国鉄=現鉄道・運輸機構)訴訟で、東京高裁が証拠採用し法廷で放映され、最高裁での和解につながった。
 JR北海道のローカル線切り捨ては、国鉄「分割・民営化」破綻の証しである。中曽根内閣から安倍内閣に到る自民党政治の責任を問う。
 安倍首相は「地方創生のため」と、JR東海が計画しているリニア中央新幹線(名古屋〜大阪間)建設に約3兆円を融資しようとしているが、地方創生は北海道のローカル線存続に使えと言いたい。
 9月27日のHBCテレビ(TBS系列)は「赤字路線廃止へ“鉄道崩壊”の原点」が放映された。その中で、自民党の大ウソの広告(朝日新聞1986年5月22日)があった。
 「国鉄が…あなたの鉄道になります。」「民営分割ご期待ください。…全国画一からローカル優先のサービスに徹します。」「民営分割ご安心ください。…不便になりません。運賃も高くなりません。ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。ローカル線もなくなりません。」と宣伝していた。


 国鉄分割・民営化の検証が必要な時である。来年2 月18日(土)、16時から帯広市とかち館で、「あれから30年!国鉄分割民営化を問う十勝集会」が開かれ、社会通信社の滝野忠さんが「JRの現在と未来」をテーマに講演する。主催:平和運動フォーラム十勝/帯広平和運動フォーラム。?0155(22)4334(北海道・佐野周二)

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