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2017.02.14

「経営労働政策特別委員会報告」批判〈下〉


 4.同一労働同一賃金

 「違いがあれば違いに応じたものとすることを基本的な考え方」と経営側は位置づけている。「正規と非正規の差については、異なる理由を具体的に説明できるようにしておく」「説明が困難なときは見直しも考える」などレクチャーをして、本質的には「正規と非正規の間にもめ事を起こさない努力はする」が、「違いは今後とも続く」と結論づける。
 安倍首相の「この国から非正規という言葉をなくす」ことには目もくれず、人件費がアップする「同一労働同一賃金」などやる気がない。

 5.労働生産性向上の目論みホワイトカラーエグゼンプション

 人口減少が続く今だからこそ、生産性向上のチャンスと位置づけると言う。ホワイトカラーの多い非製造業の生産性が低い。労働者1人あたりのGDPもOECD(経済協力開発機構)の平均以下と指摘する。国別GDPによると日本は3位。しかし、一人当たりの名目GDPは20位まで下降する。これらに対する記述はない。
 要はホワイトカラーの生産性を向上する尺度は、時間ではなく成果で判断すると決めつける。いわゆる国会で継続審議になっているホワイトカラーエグゼンプションへの改悪を求める。全ての労働者にも「時間から成果で判断」を迫ってくる。
 
 6.最低賃金制度

 16年度「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込まれた、「年率3%程度を目途に引上げ」にクレームをつける。名目GDOP3%に達していない中、「25円アップに地方経営代表者が反対表明をしている」と窮状を訴えている。しかし、最低賃金で働く労働者の生活実態には全く触れず、経営側の生産性向上による利益拡大だけを論じている。安倍政権が論じている「20年代の早い時期までに時給1000円」の文言は抹消されている。
 また、例年のように、特定最低賃金(旧産業別最低賃金)は、地域別最低賃金の「大幅引上げ」が引き続き、その差は急激に縮まり特定最賃の役割は終えたと規定して、廃止に追い込もうとする。

 7.経営側の基本姿勢

 記録更新を継続している内部留保は377兆8689億円にのぼり、前年度比6・6%増で23兆円も上積み(10年前から2倍)した。前の年から23兆円もの内部留保を更新している。
 労働者の賃金は横ばいどころか、11月の実質賃金はマイナス0・2%まで押し下げられ、家計は火の車。企業の儲けだけが際立ち、労働者の賃金増加に行き渡らず個人消費につながらない。
 安倍首相と経営側のタッグで主張してきたトリクルダウン(富める者が富めば、おのずと富のしずくは下々に落ちて行く)など存在はせず、経済の好循環も機能しない。「働き方改革実現会議」から文言のいいとこ取りをして、「春闘は対立でもない良好な関係を築く場」などと賃金引き上げの矛先を「同一労働同一賃金、長時間労働の是正、テレワーク、フレックスタイム導入」などに変える。生産性向上に結びつく施策だけに飛びつき、賃金引き上げは「自社の支払い能力に基づいて決定する」を大原則に個別交渉で横並びを否定する。
 17春闘は、生産性向上と低額押さえ込みが経営側の戦術になっている。 (宮川)

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