新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 経済
  4. 2017.07.25
2017.07.25
日欧EPA その正体を暴く(上)
TPP同様に農業を犠牲 政権の支持率挽回を狙う
河村洋二=全国農業問題研究会

                 


 日本とEUの経済連携協定(日欧EPA)が7月6日、ブリュッセルで大枠合意された。欧州産ワインやチーズ、パスタなどが安くなるといった報道だが、「農業を犠牲にして自動車を売る」代物だ。
 大枠合意は、急転直下まさに電撃的になされたように報道されているが、実際は都議選直後から決まっていたようだ。現地ブリュッセルに交渉合意を示すダルマが用意されていたことや、自民党代表団が現地に到着する直前に合意成立が発表された事実からそのことが見て取れる。
 実際のところは、TPP同様またもや農業の大犠牲を柱に、安倍晋三首相が「もり・かけ疑惑」で急落した自らの支持率挽回を狙って大芝居を打ったのだ。大枠合意は、EU各国にはトランプ米政権やイギリスのEU離脱にみられる保護貿易主義に対する警告になったと評価されている。だが、第二のイギリスを警戒しているEUにしてみれば、トランプ大統領も参加したG20閣僚会議(7月7日)前に、安倍首相の野心を利用し、敢えて「急転直下」の演出に相乗りしたのだろう。
 しかもEUにしてみれば、安倍首相の農業軽視はTPPで証明済みである。従って大枠合意について、我々はもちろん日本の農業者、農業団体の多くが心配した通りTPP以上に日本が譲りに譲った内容となっている。農業に強いEU連合の自信と“おもてなし”というところである。
 さて大枠合意の内容だが、交渉開始から4年余、交渉は物品市場アクセス、非関税措置、投資、政府調達、紛争解決など27分野にわたって行われた。その結果、「日本の自動車産業が最大の勝者」(現地新聞)と言われるように輸出6・5兆円( 15年)の40%を占める自動車、電機関連の10%〜14%の関税が8年目に撤廃されることが決まったのである。
 その代りに輸出130億円0・2%、輸入6500億円11%の食料品(農産物)市場を日本が10年〜16年で全面解禁することが約束されたのである。




 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ