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2018.05.22
2%時期語らず
日銀相場の株

  日銀の黒田総裁が4月9日に再任された。その最初の記者会見では「2%の物価安定目標に向けて最大限努力」と持論を表明。ところが27日の記者会見では2019年頃としていた目標達成時期を消去した。達成時期はこれまで6度も延期されてきたのだが、やっと白旗を掲げた格好だ。
 これに先立つ3月末、日銀保有の国債増加は1年前比50兆円に満たず、14年秋の「年間80兆円増」の目標はおろか13年4月の「年間50兆円」をも下回った。
 一方、日銀の上場投資信託(ETF)購入は止まらない。日銀は14年秋の「ハロウィン緩和」でそれまでの年間1兆円購入目標を3兆円に増やし、さらに16年7月には6兆円への倍増を決定。本年3月末の保有額は24兆円となった(5年前は2兆円)。3月は8千億円強の買入れで月間ベースでは過去最高。株価が下がるたびに購入しているからだ。これを「株価買い支え」という。
 また日銀と共に株を大量に購入するのが年金管理運用独立法人(GPIF)などの年金基金だ。
 だが国債と異なり株式には償還期間がないため、将来に減らすには売りに出すしかない。日銀らが株を大量に売り出せば市場の混乱を招くのは必至。だから欧米の中央銀行が金融緩和の目的で株を買ったことはない。恩恵は富裕層や上場企業にのみ偏り、市場本来の価格発見機能は損なわれ、上げ底になっている。このツケは将来の日銀を襲うだろう。
 黒田日銀が最も嫌うのはデフレではなく、円高・株安である。「株価連動内閣」の安倍政権が退陣する時、黒田日銀はどう出るだろうか。

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