被爆64周年 ヒロシマ・ナガサキ アピール

2009年8月6日
新社会党中央本部


 1945年8月6日ヒロシマ、9日にナガサキ、人類初の原子爆弾で多くの犠牲者を出しました。その数はヒロシマ40万人、ナガサキ27万人以上の死傷者を生み、生きながらえた被爆者は今も後遺症に苦しみ続けています。

 新被爆者援護法は国家補償、遺族に対する弔慰がなく、戦争責任が不問とされています。また在外被爆者は今も救済されていません。私たちは改めて日本の戦争責任の自覚と「核と人類は共存できない」ことを再確認し、被爆国日本の声を全世界に広げましょう。

 現在、核兵器保有国は9カ国、その数は2万発以上、中でもアメリカ、ロシアの数は膨大なものです。核軍縮の一つとして「核兵器不拡散条約」(NPT)が70年3月に発効しました。アメリカ・ロシア・フランス・イギリス・中国を「核兵器国」とし、他の国への核拡散を防止するための条約です。

 しかしその後核保有国となったイスラエル・インド・パキスタンは未加盟、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は脱退しています。05年にNPT運用検討会議が開催されましたが実質的な合意が得られませんでした。

 核実験を中止するために「包括的核実験禁止条約」(CTBT)もあります。しかし条約は発効していません。アメリカ・中国・イスラエル・インド・パキスタン・北朝鮮など核保有6カ国が批准していないからです。このように核軍縮は核保有国の利害で進んでいません。

 来年にNPT運用検討会議が持たれます。またオバマ米大統領は4月に「核兵器のない世界」を宣言しましたが、これが空論で終わらないよう来年のNPT運用検討会議を成功させましょう。そのために今、広島・長崎市長や核廃絶を目指す諸団体が署名運動など、様々なはたらきかけを開始しています。

 日本は米国の「核の傘」に依存し、その代わりに沖縄をはじめ日本全土が米国の出撃基地になっています。また、「非核3原則」の日本の国是を事実上骨抜きにする核持込の「密約」が発覚しました。

 これまで米国艦船が核を積載し入港しても事前協議なしのフリーパスだったのです。また、北朝鮮の核実験を契機に自民党国防族やウルトラ右翼が「核武装論」を公然と唱えています。
 
 前航空幕僚長の田母神氏は原爆慰霊の8月6日広島で核武装論の講演を強行します。日本の核廃絶の立場と矛盾するこれらの問題を強く糾弾します。私たちはどこの国の核にも反対ですし、ましてや日本の核武装論は前面否定しなければなりません。

 日本政府は「クリーンエネルギー」と称して原子力発電所の建設を推進しています。地震列島の巣の上に原子力発電所を建設していますが、政府や電力会社は「安全」を宣伝していますが被災時の大事故が想定されます。

 現に1999年9月に東海村JCO臨界被曝事故が起き、死者2名住民など667人以上が被曝しました。そのほかでも数多くの放射能漏れや火災事故などが多発しています。原発は廃止し別のエネルギー開発に力と予算を使うべきです。

 わたしたちは核兵器による唯一の被爆国であり、核兵器の恐ろしさ・非道さを全世界に伝える責務があります。

 同時に、日本自身の核依存と日米軍事一体化、さらに自衛隊の派兵恒久法の制定など、戦争につながる目の前の危険な動きと一体的に闘わなければなりません。

 日本は世界に誇る憲法前文・9条に示された、不戦・非武装の外交と核軍縮を同時並行的に進める外交政策の転換が求められています。