2012年5月3日 憲法アピール

2012年5月3日
新社会党中央本部


 日本国憲法は施行65周年を迎えました。


 私たちは直視します。憲法の民主的な各条項が生活の中に活かされているかどうかを。


 何よりも東日本大震災と福島第一原発事故の被災者・避難者の生活再建に憲法が全面的に活かされているでしょうか。むしろ、企業の復興需要と原発再稼働が最優先され、生活再建は遅々として進まず、被災者・避難者は置き去りにされています。


 社会保障はどうでしょうか。憲法25条は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しています。ところが、非正規・不安定雇用が増大し、年収200万円以下が1000万人を数えます。自殺者数は1998年以降毎年3万人を超え、生活保護者は過去最高の205 万人になりました。医療・年金制度は改悪が続き、その上、消費税増税10%法案が準備されています。富と貧困の格差が拡大し、生活苦と明日への不安が助長されています。


 若者に働く場所が保障されていますか。憲法27条は、働く権利と義務をうたっています。高校や専門学校、大学を出ても仕事に就けない新卒者は、今年は約20万人、完全失業者数は約300万人、働きたくとも働けない社会が現実となっています。


 憲法19条の「思想・良心の自由」はどうでしょうか。教育現場に「日の丸・君が代」の強制と服従が持ち込まれています。憲法21条は、「集会・結社及び表現の自由」を約束しています。しかし、集会の監視と弾圧、ビラの配布規制などは日常茶飯事です。


 憲法9条は、集団的自衛権の行使や海外での武力行使を禁止しています。ところが日本は軍事大国に変貌しました。自衛隊の海外派兵は日常のこととなり、米・韓・豪との共同作戦体制が着々と進んでいます。


 司法・立法・行政の三権の独立的機能が低下しています。選挙制度は改悪され、国会議員の定数が削減されようとしています。司法の行政への追随は際立っています。


 改憲勢力は、明文改憲の策動を強めています。改憲手続き法(国民投票法)の施行、憲法96条改憲議連結成、衆参両院の憲法審査会の始動、自民党の新たな改憲案作成と急ピッチです。


 こうした政治への不信は「橋下・維新の会」への共同幻想となって現れ、日本は危険な社会に踏み込もうとしています。今こそ、憲法を活かし、人らしく生きられる社会の実現へ、護憲政党とすべての政治勢力は手をとり合い、共同行動に立ち上がりましょう。そのために新社会党は全力をあげて奮闘します。


                                  2012年5月3日
                                  新社会党中央本部