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道路特定財源問題に関する新社会党の見解
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2008年1月23日
新社会党中央本部
同 自治体委員会
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道路特定財源は08年度予算案では国分が3.3兆円、地方分が2.1兆円の合計5.4兆円の巨額に上る。このような巨額の予算が道路建設・整備に毎年使われている。
このうち暫定税率としてガソリンや軽油、自動車重量税などに上乗せされている分は全体で2.7兆円。ガソリン税は3月一杯、自動車重量税は4月一杯で期限切れを迎えることから通常国会で延長か廃止か、クローズアップされている。
新社会党は暫定税率を廃止し、本来の税率分は一般財源化し、福祉や教育などにも使えるようにすべきものと考えている。
道路特定財源は1953年に自民党の議員立法によって成立し、74年4月から「緊急かつ計画的な道路整備」と称して上乗せの暫定税率が導入され、その後2度にわたって引き上げられている。1953年といえば当時の国道や県道の舗装率は5%程度であったが、現在は市町村道を含めても97%に達している。
道路特定財源に国民の批判が強くなっている現在、政・官・財はそれぞれの利権確保のために財源を手放そうとしない。「真に必要な道路」建設と称して、新たに10年間で59兆円もの「道路の中期計画素案」(国土交通省)をまとめ、その強い決意を示している。地方自治体の道路整備要望をあおり、「総額先にありき」を既成事実化しようとしている。
しかし、地方自治体は大規模な道路建設や高規格道路整備の地元負担金により借金がかさんでいる。住民が望んでいるのは生活道路の補修や改善である。ところが、新たな道路建設には手厚い補助システムがあるが、既存の生活道路を改修しようとしても国からの補助はないに等しい。巨大道路建設には金を惜しまないが身近な道路の財源は乏しい。このことは道路特定財源が誰のためか、何のためかということを如実に示すものではないだろうか。
もちろん、「道路の中期計画素案」には国民の暮らしに欠かせない、また安全確保対策の施策も入ってはいる。しかし、その予算化に道路特定財源が不可欠ではない。まして上乗せ税率は不要である。三位一体の改革で地方交付税などを大幅に削減して地方財政を苦しめている政府与党は地方をだしにすべきではない。そこまでいうならば、総額6兆円に及ぶとされるMD計画をやめるなどの軍事費削減や、新たな新幹線整備などをやめるべきである。
例えば九州新幹線事業費の熊本県負担だけで2153億円(年平均約106億円)であり、川辺川ダム計画などの無駄遣いを合わせれば、暫定税率廃止による熊本県・市町村の総税収減約160億円を優に上回る。
抜本的には、史上最高益を更新し続けている大企業や資産家の減税をやめ、応分の負担を求めるべきではないか。
また、ガソリン税などが二重課税となっていることも問題である。税金に5%の消費税がまたかかっているのだ。原油に対する需要の高まりと、巨額な投機資金の流入によって原油が高騰し、それを価格転嫁できない運送業界や市民生活は苦しさを増している。すでに暫定税率の上乗せの必要性はなくなっている。本来の主旨にのっとって期限延長はすべきではない。
もとより、このことによってガソリン等の消費を高めない方策も必要である。エネルギー消費に課税し、地球温暖化対策を進める環境税の導入も検討されてしかるべきである。ただし、その際もCO2対策で経済界の自主規制にまかせるなどの対応を反省し、欧州各国のように政府が経済界に削減への義務づけを図るべきである。
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