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北朝鮮の人工衛星打ち上げにともなう
諸事態に関する見解
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2009年4月6日
新社会党中央本部
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北朝鮮が4月5日午前11時20分人工衛星『光明星2号』を打ち上げた。朝鮮中央通信の報じたところによれば衛星は楕円軌道に乗り成功したという。この打ち上げが成功か否かの事実は後日真相が明らかにされよう。
新社会党は3月17日にすでに人口衛星打ち上げに関する見解は表明している。その際、朝鮮半島を取り巻く諸情勢については歴史的経緯を踏まえて平和的話合いにより解決すべきとの強い認識を前提に、北朝鮮の人工衛星打ち上げには、①基本的に独立国の当然の権利として理解する。②周辺諸国等の不安解消のための一層の努力をすべきとし、当面、打ち上げ留保の英断を望んだ。我が党は、人工衛星が打ち上げられたいまもこの基本認識に変りはない。
しかし、打ち上げを巡る日本政府及び報道機関の対応は誠に異常な事態と言わざる得なく、「戦争前夜」と思わせるもので看過できないものである。
今回の人工衛星打ち上げを利用し、政府は次のことを行った。
第1に、報道機関を総動員させ、かつての「大本営発表」のシナリオをつくり、国民世論を誘導と統合に導き、地方自治体ごとの住民を管制下に置く「有事」体制訓練をさせたこと。
第2に、報道を通じ、危機と恐怖を煽り自衛隊の認知と防衛意識を醸成させることにより、自民党や財界の狙う憲法9条の空洞化を促進したこと。
第3に、MDシステムの稼動と自衛隊内の情報伝達訓練や作戦指揮、部隊移動訓練を公然と実施させる絶好の機会として利用したこと。
第4に、北朝鮮を明確な「敵対国」として位置づけ、今後の「防衛」論議の加熱化や在日朝鮮人をはじめとした外国人の排斥につながる動機付けを強化したこと。
このように麻生政権は下がり続ける支持率回復の絶好の機会ととらえ、北朝鮮問題を支配階級の様々な思惑を貫徹することに利用したのである。このことは先の4つの指摘から明らかなように、平和憲法を空洞化させ戦争をする国として一気に「有事」体制をしいたことであり許しがたい蛮行である。新社会党はかかる麻生政権に対し、満身の怒りをもって厳しく糾弾する。
本来、日本が今の国際社会にあってなさなければならない焦眉の課題は、朝鮮半島を含めた東北アジアの平和と非核化をいかに創造するかであり、いたずらに対立をあおることではない。然るに、麻生政権は自らの権力基盤の強化と日本を「戦争ができる国」へと導くだけで、明日の日朝間やアジアの平和をいかに創造するかなどの平和外交姿勢が全く感じられない稚拙な愚かな選択をしている。
尚、国会では4月7日に北朝鮮の人工衛星打ち上げに関する抗議決議が上程され、与党及び民主党の賛成多数で議決された。この決議は大変危険な選択といわざるを得ないが、少なくとも共産党は反対、社民党は棄権し道理を通した。
新社会党は再度主張する。 日本政府は6カ国協議の合意事項を確実に履行し、北朝鮮敵視政策と「制裁」行為を中止し、日朝間にある諸課題について平和的話合いと信義を基礎とした日朝正常化に向けた対朝鮮政策に転換すべきである。
また、日本は平和憲法に即した安全保障政策と外交に戻るべきである。武力では平和は守れないことは歴史を見れば明らかである。武力には武力が、脅しには脅しが呼応し、歯止めのない軍拡競争の道を進むばかりである。
日本は国際問題を武力で解決する道を選ばないことを憲法で謳った。それはかっての侵略戦争の惨禍の中から教訓化した国民共有財産だからだ。だがその憲法が壊されようとしている。明文改憲を狙う「国民投票法=改憲手続き法」がすでに公布され2010年5月には施行されようとしている。今、憲法を愛するすべての人々が力を合わせこの「国民投票」の実施を阻まなければならない。
改めて、新社会党は憲法改悪に反対する全ての人々と共同のたたかいをすすめることを決意する。
以 上
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