改憲手続法の強行に抗議し、護憲勢力の総結集を訴える

2007年5月14日
新社会党中央本部

 政府与党は5月14日参院本会議で改憲手続法を成立させた。民主党は中央公聴会も開かないままの採決に合意して悪法の強行に手を貸した。改憲阻止闘争は第二ラウンドに入る。私たちは引き続き「手続き」自体の不当性を徹底的に追及しつつ闘う。

 民主党は、安倍首相を質疑に引っ張り出すことと付帯決議を付けることで、中央公聴会も開かないままの採決に応じた。この間の審議で明らかになってきた「公正」「中立」とは程遠い手続法の問題点の追及に自ら終止符を打ち与党を助けた。与党との共同修正に応じてきた民主党の改憲勢力としての本質が露呈した。違憲・違法な「手続法」にようやく国民の批判が高まりはじめた時に「くさいものにふた」をした民主党の共犯者としての責任は大きい。その民主党の対応を支持してきた連合の責任も大きい。付帯決議がごまかしの手法であることは、国鉄分割民営化法の経緯でも明らかである。

 ようやく高まり始めた国民的な論議を封じ込めようとする与党の狙いを示す手続法は多くの問題点を浮上させた。最低投票率制度を設けていないこと、公務員・教育者の「地位利用」「政治的行為」の制限、労働組合や市民団体の運動に介入が可能な「組織的多数人買収罪」、「広報協議会」の構成の公平性への疑義、3年間の「凍結期間」中でも改憲案や要綱の作成ができること、改憲の賛否を問う際の「関連する事項ごと」のくくりかたなど、山積する課題は検討事項として付則、付帯決議に放り込まれた。

 多くの疑問点に答えないまま強行された改憲手続法に続いて、教育関連三法案、イラク特措法延長、米軍再編法案などの成立を図ろうとしている。集団的自衛権行使の検討も始まった。「戦争のできる国づくり」を急ぐ安倍内閣の暴走に対して、国民的な反撃の輪をいっそう拡大しなければならない。侵略戦争責任を回避・歪曲する安倍内閣と「河野談話」見直しの議連運動を共有し、基本的に同質の「対案」路線をすすめる民主党に期待をかける余地はまったくない。

 国民主権を無視した違憲・不当な手続法に対する糾弾を緩めてはならない。私たちは、改憲を所与の前提として改憲へのハードルを限りなく下げた手続法を認めない。それは「手続き」においてすでに国民主権を全面的に否定している。法成立を受けて設置される憲法審査会や改憲派の「草案」作りに対して一つひとつ反撃していく運動の結集に努力する。そして7月参院選で護憲勢力の前進をはかることに全力を挙げなければならない。「9条ネット」の地方組織の立ち上げと賛同人の拡大に全力を挙げ、護憲派議席の拡大を実現しよう。労働運動再建への努力とともに大衆運動の強化をはかろう。改憲阻止を明確にできない連合から自立した労働者の主体的な運動の輪を広げよう。