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久間防衛相の原爆投下容認発言と安倍内閣の危険な動向を糾弾する
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2007年7月3日
新社会党中央本部 |
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久間章生防衛相が原爆投下容認発言の責任を取り辞任したが、議員も辞職すべきであり、安倍首相の責任もまた重大である。問題の重大性からすれば内閣総辞職でもいいくらいである。
久間防衛相は6月30日、千葉県柏市の麗澤大学での講演で、アメリカの広島、長崎への原爆投下に関して次のように述べた。「あれで戦争が終わったんだ、という頭の整理で今、しょうがないなという風に思っている。米国を恨むつもりはない」。
久間防衛相は被爆地・長崎の出身である。被爆地・長崎はもとより、広島を含む悲惨な被爆体験を「しょうがない」こととして、アメリカの原爆投下を容認したこの発言は、いま日米一体となって海外派兵し、肥大化を続ける日本の軍事大国化を推進している安倍内閣の危険な性格を示すものである。
この久間発言の直後、見解を問われた安倍首相は「米国の考え方について紹介したと承知している」と述べ、対米追随で「原爆投下正当論」を容認する姿勢を示し、国民の批判の噴出にあわてて、「国民に誤解を与える発言は厳に慎まないといけない」「核を廃絶することが日本の使命だ」と、とってつけたように加えたが、久間防衛相の罷免要求を拒否してかばった。
久間防衛相自身も罷免要求に対して「そんなことはよくあることだから」と歯牙にもかけない態度を示し、与党・公明党も「謝罪するくらいならしゃべるな」という程度の批判しかしなかった。しかし、参院選を目前にして、国民的な批判の高まりのなかで辞任を余儀なくされたのであり、経過が示しているように、真の反省を示すものではない。
私たちは、核と戦争のない世界を希求する国民世論に公然と挑戦するこのような発言が行われたという事実と、安倍首相・与党の対応に対しても深い憤りと共に糾弾する。辞任しても責任は消えない。
安倍内閣はいま、3兆円の巨費を投じて米軍再編を支援し、イラクでは多国籍軍に協力し、MD(ミサイル防衛)構想や集団的自衛権行使を認め、自衛隊の「中央即応集団」の編成もすすめ、海外での軍事行動を公然と展開する方向に向かおうとしている。そして安倍内閣の一部や右翼勢力「日本会議」などには核兵器所有論や北朝鮮に対する先制攻撃論さえ登場している。
久間発言はこのような脈絡のなかで発せられたものであり、決して彼だけの孤立した発言ではない。こうしていま安倍内閣は侵略戦争・植民地支配の歴史を歪曲・否定するだけでなく、米国の原爆投下すら擁護して日本の軍事大国化を強行するという危険水域に入っている。
私たちは、このような動きを断固として糾弾するとともに、既成事実の積み上げの上に、9条改憲を強行しようとする安倍内閣を打倒するために全力をあげる。7月29日投票の参院選挙が当面の主戦場である。 |
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