福田首相の辞任について

2008年9月2日
新社会党中央本部


 福田首相が唐突に辞任を表明した。

 安倍前首相が政権を投げ出してわずか1年足らず。安倍首相は健康を理由に逃亡したが、福田首相は「民主党が言うことを聞いてくれないので国政に空白ができる」と無責任ぶりを発揮した。公明党の「ポスト福田」の動きや太田農相の事務所問題もあり、もはや自公政権は体をなさず政権担当能力がない。「国民的人気」のある人物を総理にすえて目先を変え総選挙に臨む魂胆だろうが、これほどご都合主義はない。

 総選挙の洗礼もなく、1年の間に2回も首相が逃亡する事態は異常である。ほんらい直ちに選挙管理内閣をつくり、解散・総選挙を実施せねばならない。

 しかし真の問題は、福祉や雇用の破壊などで苦しむ人々の声を集め、大衆的なうねりを作り出し、政治を変える勢力がバラバラで弱いということである。解散に向け浮き足立つ中で、当面、臨時国会開幕まで総裁選をめぐる自民党内「対立」が演出されるだろう。民主党党首選とあわせ、このままでは総選挙になっても、ただ党首のキャラクターを看板にした政権交代を問うものとなり、人々の声はかき消されるだろう。

 小沢・福田大連立騒動の際、その動因は消費税と憲法改悪だというのは、政界の常識である。この二大課題は今は封印されているが必ず浮上する。目先を変える自民党も、民主党も2大課題では同じ土俵にある。

 89年の竹下首相退陣以降、3年間で4人も首相が代わったことがある。この時も政治不信は高まり、それは「政治改革」の名のもとに小選挙区制へと誘導され、細川・非自民連立政権の下で民主主義の扼殺(やくさつ)装置である小選挙区制が成立した。その結果、平和憲法を暮らしに生かす勢力は国会ではごく少数にされた。

 そして今、「二大政党」が国会の大多数を占め、社会の矛盾ははるかに耐え難いものとなった。憲法改悪に反対し、大企業優遇税制や防衛費を福祉にまわせと呼びかける護憲勢力は大同団結し、大きく拡がらなければ、政治不信は危険な方向に誘導されかねない。

 新社会党は、平和と民主主義、暮らしを守る闘いを強め、解散総選挙でも共同が一歩でも前進するよう様々な努力を積み重ねる。

 心ある人々に訴える。今からでも遅くはない。憲法を活かす勢力の総結集、護憲の共同の候補実現のために全国津々浦々で活動を強めよう。