1、野田首相は6月16日、停止中の関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働を宣言した。この決定は福島原発被災者はもとより、地球に生きるあらゆる生命体への重大な挑戦であり裏切りである。野田首相は「責任を持つ」と言うが、重大事故に対して首相みずからの命で償いきれるものではない。償っても責任がとれるものではない。今からでも遅くはない、大飯原発をはじめ全原発50基の再稼働中止・廃炉宣言をこそすべきである。
2、野田首相は「大飯原発の安全性が確保された」と胸を張った。だが、福島第一原発事故の危機的状況は回避したとは言えず、嘘と詭弁の安全宣言でしかない。大飯原発直下の活断層の評価も定まっていないなか、政府の暫定安全基準はわずか2日間で作成され、防潮提の建設は1年後、免震重要棟やベント管、フィルターの設置は今から3年後というお粗末な工程表を容認した。また、ストレステスト(耐性試験)のデータは改ざんされるなど耳を塞ぎたくなるような判断だ。ましてや「国会事故調」による事故の原因究明や「原子力規制庁」発足と、新安全基準の策定をみないままのなし崩し的再稼働である。まさに異常事態である。さらに、大飯原発再稼働は夏期限定とする関西広域連合の「条件」すら無視した。
3、関西電力の電力量構成比(2011年)の43%を原発が占めている。そして2020年には原発50%、火力発電は46%から39%に、水力や新エネルギー開発は付け足しという計画を発表している。このように関電は原発最優先政策の先頭を走り、原発立地自治体には潤沢な金をばら撒き、地元企業や地元住民に原発依存の構造をつくり出してきた。おおい町をはじめ福井県民を原発再稼働は痛し痒しとする状態に追い込み、再稼働同意の「世論」をつくり出した。周辺自治体には原発がないと夏期の電力消費の15%が不足をするというデマを流してきた。
4、政府は大飯原発再稼働を撤回し、全原発の廃炉を前提とした、新たなエネルギー政策を立案すべきである。当面は化石燃料中心の電力の確保に全力を挙げるべきである。
完全な透明性と独立性を担保した「原子力規制庁」の下で、全原発廃炉の作業に着手すべきである。また、核燃料サイクル計画は断念し、不必要な予算は全額削減すべきである。原発立地自治体の概念を広げ、広く関係自治体に原発に関する公聴会や意見を求め、原発問題に当たるべきである。同時に、原発立地自治体に対しては原発に代わる新たな雇用と産業政策を政府の責任で推進すべきである。
以上
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