沖縄米兵強姦傷害事件について

2012年10月18日
新社会党中央執行委員会


 1、沖縄本島中部地域で米海軍所属の2人の兵士が、帰宅途中の女性を性的暴行し、県警は集団強姦致傷の容疑で米兵を逮捕した。
 現地沖縄では17日夕刻から風雨を突いて在沖米軍基地司令部が置かれているキャンプ瑞慶覧前で怒りの抗議集会が開かれた。また、沖縄県の仲井真弘多知事は政府防衛省に対し「正気の沙汰ではない」事件として厳重に抗議し、日米地位協定の改定を申し入れた。また、本土では首相官邸前で抗議行動が行われた。

2、アジア太平洋戦争で日本で唯一の地上戦が戦われ、多大な犠牲を出した沖縄は、本土復帰後、40年間日本政府及び本土側より差別の構造を強要されてきた。日米同盟の下、その構造は今も変わらず、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの強行配備はその一端だ。その抗議行動が続いている沖縄で起きた暴行事件である。これに対し日本政府は「厳重に抗議」「綱紀粛正」のその場しのぎの態度に終始している。

3、 沖縄での米兵による事件・事故は枚挙に暇がなく跡を絶たない。本土「復帰」から09年まで、米兵の起こした事件・事故の犯罪検挙数は5643件、そのうち強姦を含む凶悪犯罪件数は562件(沖縄県警本部・2010年統計)に上る。しかも強姦罪は、親告罪であるから、被害者の告訴がなければ公訴できず、泣き寝入りなどのケースを考慮すれば、米兵の犯罪は統計をはるかに上回る犯罪数と考えられる。もちろんこうした犯罪は、沖縄だけでなく在日米軍基地がある岩国、横須賀をはじめ全国に及ぶ。

4、これまでの在日米兵による事件・事故は「日米地位協定」により、厚い特権と治外法権的扱いにより、米軍はあらゆる分野で超法規的に保護されてきた。これが大きな障壁となり米兵の犯罪は米軍法が優先され、日本の刑事訴訟法が及ばない状態が続いてきた。だが、米兵の犯罪が度重なり、米国側は1995年に起きた少女暴行事件以降、公務中を除き「好意的配慮を払う」としたが、あくまで米国側に決定権が委ねられたままの状態である。「日米同盟」を金科玉条とし、日米地位協定の改定に手をつけない限り、沖縄は超法規的「植民地」とみなされ、米兵の凶悪犯罪は根本的になくならない。
 日本政府は、在日米軍基地撤去、日米安保条約廃棄を視野に、速やかに日米地位協定を改定し、「思いやり予算」を見直すべきである。

                                                 以上