安倍内閣のTPP交渉参加表明を糾弾する

2013年3月15日
新社会党中央執行委員会


■安倍首相は315日、日本がTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加することを表明した。これは自民党TPP対策委員会が条件付きでまとめた決議を踏まえて表明したものである。交渉参加の条件とはコメ、麦、乳製品などの重要5品目と国民皆保険制度などを死活的利益としてその確保を優先し、これができない場合は「脱退も辞さないものとする」としている。

■日本のTPP交渉への参加表明は、多くの国民、業界、諸団体が反対を表明する中、一部日本の多国籍大企業と米国の利益を優先したものであり、到底容認できるものではない。新社会党はTPP参加に一貫して反対してきたが、さらに闘いを強化するものである。

■安倍首相がいかに理由をとりつくろうとも、TPP交渉参加は日本国民にとって絶対的に不利なものである。

第一に、TPP参加11カ国の合意は2013年末までに結論を得るとの期限がつけられている。このことは201211月の第15回政府間交渉で合意済みであり、これを覆すことは困難である。9月予定の第18回交渉が7月に前倒しとされても、これまでの交渉テンポでは日本の交渉余地は限定され、わずか半年で後発の日本の要求を呑んで合意することはありえない。

第二に、201211月に新たに交渉に加わったカナダ・メキシコは先発9カ国から、それまでの合意事項の再交渉を許さない不利な条件を飲ませされた経緯がある。野田前政権では後発2カ国に条件を打診したが、余りにも厳しい条件なので公表を隠した経緯が発覚した。仮に7月に日本が交渉に参加したとしても年内合意と先発合意事項の優先権の前に安倍首相がいう「聖域」など主張できるものではない。

第三に、TPPの主要な目的は米国による日本市場の無条件開放であり、「日米同盟」の下で日本は要求を呑まざるを得ない構造にある。米国はリーマンショック後の最優先戦略として2014年までに輸出倍増戦略をとり、そのターゲットを日本に定めている。先発のTPP参加9カ国のGDPを比べると9割が日米で占め、TPPは事実上の日米非関税の自由貿易協定である。米国国内での日本に対するTPPの意見募集では、自動車関連業界と労組、一部業界がTPPに日本を加えることに反対しているが、86.1%の業界・団体が賛成をした。日本に対しては、交渉条件付や聖域は認めず、再交渉や合意期限の延長も許さないことが共通認識となっている。第二次オバマ政権がこうした業界の利益に反した日本の「聖域」なる要求を認めることはありえない。

TPP交渉参加は百害あって一利なし、安倍首相は交渉参加表明を撤回すべきである。 

                                                  以上