集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を許さず、改憲阻止のたたかいを続けよう

2014年7月2日
新社会党中央執行委員会


 1、2014年7月1日、安倍内閣は憲法9条を事実上破壊し、集団的自衛権行使を可能とする「安全保障法制の整備」に関する閣議決定をした。この基本方針を踏まえた「必要な国内法制を速やかに整備すること」を表明し、いよいよ「戦争ができる国」へと日本を180度転換する暴挙に踏み出した。またこの閣議決定は僅か一か月半の短期間で、しかも自公両党の協議のみ、国会審議も民意を問うこともなく19名の閣僚による閣議決定であり、これはまさしく改憲クーデターと呼ぶに等しいものであり、断じて認めることはできない。


2、閣議決定された集団的自衛権行使容認の全文は大要3つに区分されている。第1に「グレーゾーン」といわれる事態での警察活動を恣意的に拡大し、米軍との共同軍事作戦が可能とした。第二の「国際貢献活動」では、これまでの「後方地域・非戦闘地域」から大きく踏み出し、従来の「戦闘地域」に自衛隊の派兵が可能とするものである。第三に「切れ目ない事態」では、「非戦・非武装」を謳った憲法9条は、集団的自衛権を否定していないと独断と偏向による解釈改憲を公然と明記。従来の自衛措置に関する政府見解を変更し、新たな「武力行使の三要件」を規定した。これは、時の権力者の恣意的な拡大解釈が可能とされ「歯止め」も「限定」も無きに等しいものだ。自ら作り出した中国をはじめとした近隣諸国との緊張関係を「安全保障環境の変化」の文言でちりばめ、米軍や多国籍軍への参加を「国際貢献」と「積極的平和主義」で糊塗したものだ。まさに日本が憲法前文・9条をかなぐり捨て「戦争ができる日本」を宣言した。


3、翻れば、こうした安倍首相のクーデター的暴走は、着々と準備されてきた。第一次安倍政権(2006年9月〜2007年8月)では「教育基本法」の改悪と改憲手続きを定める「国民投票法」の強行制定。また防衛庁を防衛省へと昇格させた。今次安倍政権では2013年11月の「国家安全保障会議設置法」から始まり、12月には「特定秘密保護法」の制定。そして「国家安全保障戦略」、「新防衛大綱」、「中期防衛力整備計画」を閣議決定してきた。加えて4月には「武器輸出三原則」の撤廃と解禁を閣議決定。こうして集団的自衛権行使と解釈改憲に通じる数々の悪法を制定し、今回の閣議決定に至った。そして安倍首相は「国家安全保障会議」と「秘密保護法」による情報の国家主義的管理、また「閣議決定」という少数の権力者で独裁的に国の命運を決める手法を乱発し、立法府を軽視し、違憲立法の乱発を準備している。安倍政権の掲げる「戦後レジームからの脱却」とは、「自存・自衛」と称したアジア・太平洋戦争の教訓と歴史の忘却であり、それから生まれた日本国憲法の否定と改憲による国家主義的日本改造に他ならない。


4、安倍首相は集団的自衛権行使による武力で平和がつくられるという。憲法9条で禁止されている「武力による威嚇」を「抑止力」と置き換える。だが、集団的自衛権行使は海外で自衛隊員が「殺し殺される」だけではなく、国内外の日本人や施設が武力攻撃の対象となる。特定の国家のみでなく「非対象国家」と言われる武装勢力からの「テロ」「ゲリラ」攻撃に原発列島が日常的にさらされるが、安倍首相はこのことに一切触れない。我々は「武力で平和は護れない」と一貫して訴えてきた。歴史から、また、イラク、アフガニスタンをはじめ世界の現実がそれを証明している。それ故に解釈改憲も明文改憲にも反対する。他方、改憲手続きの国民投票法による明文改憲を求める声があるが、我々はこれにも与しない。今次国会で国民投票法の一部が改定された。だが、あまりにも短い国民投票運動の期間、財界や金持ちに有利な広報活動、最低限投票率の未規定などは変わらず、それ自体は保守・財界など改憲勢力に有利な法律に変わりはない。国民投票法は廃止すべきものと考える。今、必要なのは日本国憲法を生活の隅々に生かすことである。


5、今回の「閣議決定」に対する反対運動は護憲・改憲の垣根をこえ、広範に広がった。首相官邸を取り巻く抗議行動はもちろん、全国各地で老いも若きも声をあげた。次のたたかいが迫っている。集団的自衛権行使に伴う多くの関連法案が秋の臨時国会での提案をはじめ、長期のたたかいとなる。また、共謀罪など新たな提案も予測される。そのためには、国会内外での共闘と大衆運動、労働運動による安倍政権打倒のたたかいを推し進めよう。また、「戦争をさせない1,000人委員会」をはじめ、改憲反対の共同闘争を更に厚く広く全国で組織しよう。

                                         以上