九州電力川内原発再稼働糾弾、安倍政権の暴走を止めよう!
2015年08月11日
新社会党中央執行委員会


九州電力は2015年8月11日、川内原発1号機の再稼働に踏み切った。これを各電力会社が適合審査申請中の総数25基の原発再稼働の突破口とさせてはならない。新社会党は川内原発再稼働の強行を厳しく糾弾し、日本列島に存在するすべての原発の再稼働を中止し、廃炉にすることを要求する。

第一に、「核と原発は人類と共存できない」という歴史的教訓を踏まえなければならない。1945年8月のヒロシマ・ナガサキ、そして2011年3月のフクシマは世界の人々に戦争と核兵器、過酷事故を起こした原発の残虐性と非人間性を見せつけ、核は地球に存在してはならないことを示した。

第二に、原発再稼働は安倍政権の暴走を加速させる突破口となる。原発再稼働は安倍政権の主要政策の一つであり、これを許せば、沖縄辺野古新基地建設、安全保障関連法案(戦争参加法)の強行突破に弾みをつける。

第三に、福島第一原発事故は未だに収束せず、事故から5年目に入った今でも、廃炉への展望はおろか、汚染水処理、放射性廃棄物の保管・処理の目処も立っていない。それにもかかわらず安倍政権はフクシマを「過去」のことにするために避難者11万人に対して帰還を強要、被害補償の打ち切り、子どもの被曝の隠ぺいなど、福島県民に対する「棄民政策」を進めている。

第四に、福島原発の事故の責任は誰もとっていない。国策による原発を推し進めた政治家、官僚、裁判所、財界、電力業界、大手ゼネコン、プラント業者の誰も刑事責任を問われていない。この無責任体制が川内原発再稼働にも引き継がれた。そうしたなかで、福島原発告訴団の必死の闘いにより、ようやく東電元幹部3人を強制起訴する道が開けた。

第五に、原発再稼働は、いつでも、どこでも「第二のフクシマ」を生み出しかねない。

@川内原発再稼働に際しては、安倍首相や原子力規制委員会は「世界最高水準の原子力規制」と繰り返した。しかし、その「新基準」は決して「世界一安全」なものではなく、国際原子力機関(IAEA)やヨーロッパの国際基準すら満たしていない。

Aその上、過酷事故の重要な役割を果たす重要免震棟建設の5年間の猶予をはじめ、事故に伴う様々な問題に対応するシナリオは極めて軽視されている。そもそも過酷事故における様々な住民対策を原子力規制委員会は指針作成のみとし、「実施計画は行政」へと逃げを打った。政府はそれを自治体に丸投げしている。自治体には再稼働に伴うリスクの軽減や避難計画の策定を要求するが、まともな避難計画などできるはずもない。

B原発再稼働に際して立地自治体及び県の同意を必要とするが、原発事故の被害を直接受ける原発周辺30キロ圏内の自治体の同意は必要としていない。周辺自治体の要望や意見を無視している。例えば川内原発から6キロ弱のいちき串木野市議会は「地元」としての同意を求め、市民の半数以上が再稼働に反対しているが、その声は無視されている。その一方、過酷事故時の住民の避難や保護対策などは周辺30キロの自治体に丸投げするという理不尽さである。

Cさらに、「火山予知連絡会」をはじめとした地震学会・学者の忠告や提言を無視した原発再稼働である。活動期に入ったともいわれる地震列島にありながら「巨大噴火の前兆把握は困難」と地震学会は指摘する。しかし、審査基準はこれらの指摘を無視し、巨大噴火の前兆現象の把握は可能とする前提で対策が構築されている。原子力規制委員会自体が「安全を保障するわけでもない」と言うように「新基準」はすでに破綻している。

繰り返す、原発は再稼働してはならない。新社会党は安倍政権の大暴走を止めるために、これからも奮闘する決意である。


                                  

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