安全保障関連法案(戦争参加法案)が9月19日未明、参議院本会議で強行採決され自公等5党の賛成多数をもって成立した。この採決は国会の運営ルールをも無視し、17日の参議院安保法制特別委員会では地方公聴会報告や総括質疑を行うことなく、聴取不能、議事録記載不能の状態で強行された。これは民主主義を踏みにじるファッショ的暴挙であり、断じて認めることはできない。
新社会党は安倍政権の暴挙を満身の怒りを込めて糾弾する。そして、戦争参加法案に反対し声をあげてきた皆さんとともに、安倍政権打倒、戦争参加法の撤廃をめざし闘い続けることを表明するものである。
新社会党は9月14日に「党声明」を発し、戦争参加法案の強行採決を阻止するため、党の総力をあげた闘いに集中することを訴えた。首都圏では早朝からの国会前座り込み行動や夜間集会、全国各地では集会や駅頭、街頭宣伝活動などかってない闘いを組織した。
新社会党は戦争参加法案の強行採決の意味について、以下の諸点を指摘してきた。
第一に、戦争参加法は憲法9条を真っ向から否定した違憲立法である。
第二に、法案提出の根拠とする集団的自衛権行使容認の閣議決定は解釈改憲クーデターである。
第三に、日本は専守防衛から海外で戦争する国へと変質し、平和国家日本の国際的地位を失墜させる。
第四に、圧倒的多数の反対世論を封殺し、国会審議を軽視し、国民主権と議会制民主主義を否定することになる。
第五に、戦争参加法は立法の根拠、法的整合性を欠き、時の権利力者による恣意的運用が可能とされ、自衛隊の超法規的運用に道を開く。
第六に、安倍首相の「戦後レジームからの脱却」という復古主義的思考が法律や諸制度の肝となり、その先には自民党の改憲の成就がある。
このような安倍政権の暴走の結果、日本は立憲主義、民主主義、平和主義の未曾有の危機に直面し、多くの人びとがこれを憂い、悲痛の声をあげている。
だが、希望と展望はある。それは、戦争参加法反対運動の中から、新たな闘いの芽が生まれ、確実に広がり始めているからである。個を主体とした「シールズ」や「ママの会」など若い人たちの運動、多くの学者、文化人のかつてない結集、また、反対運動を誠実に支えてきた労働組合と労働者の新たな共同と運動、そして、政党・政派を超えた広範で全国的な共同運動が生まれ、それが結実しつつある。これらの運動と力をつなぎ合い、次の闘いに発展させよう。
第一に、安倍内閣打倒へ向けた闘いである。70年間、国民の中に根付いてきた日本国憲法と戦後民主主義を根底から覆した安倍・自公政権の倒閣運動に取り組もう。衆議院解散、総選挙を想定し来夏の参議院選挙を戦争参加法案に賛成した自公他、全議員を落選させよう。そして、それに対峙する候補者を擁立、当選させる闘いに着手しよう。そのためには、何としても小選挙区・比例代表制度下の限界を乗り越える共同選挙を実現させなければならない。
第二に、戦争参加法を発動させない闘いである。戦争参加法制は1本の新法と10本の関係法を一括し、法的安定性や整合性を欠くものであり、今後その矛盾は噴出せざるを得ないし、その危険性が具体的に露わになる。これを徹底的に暴露し、自衛隊員はもとより国民を戦争に動員させない運動と並行して、戦争参加法の違憲立法裁判を一斉に提訴するなど、あらゆる闘いを組織しよう。
第三に、沖縄の辺野古新基地建設、原発再稼働、労働法制改悪反対などの個々の運動を強めよう。その中で、これらの問題の元凶である自公政権を打ち倒すことこそが問題解決の糸口であることをしっかり広げよう。
第四に、年金、医療、介護をはじめとし社会保障分野でも、国民の生活が脅かされ、生存の不安定さはさらに広がっている。アベノミクスの正体が、実は財界をはじめとした一部富裕層や多国籍企業のための政策であり、とうに失速している。様々な分野で一層深まる自公政権の矛盾に対して、国民各層の要求と抵抗を大きく束ね、「オール日本」で闘う態勢を組織しよう。
以上の闘いを通じ、安倍政権が企図する明文改憲への国会発議を阻止し、憲法を守り抜き9条が世界に輝く平和国家日本を取り戻そう。
新社会党は以上の課題を、多くの人びとと共同し、次への闘いを開始する。
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