■安倍内閣は3月29日、安全保障関連法(戦争法)を施行した。これで日本はいつでも、どこででも「戦争ができる国」へと質的大転換を遂げた。安倍政権の暴走は今や戦前回帰への逆走と化し、あのアジア・太平洋戦争の反省と、その中から生まれた日本国憲法を真っ向から否定するものである。
新社会党はこの暴挙を満身の怒りをもって糾弾する。同時に、改めて明文改憲阻止、憲法を暮らしと政治に生かす闘いに全力を挙げることを宣言するものである。
■安倍政権は2014年7月1日、歴代保守政権が不可能としてきた集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更を閣議決定し、2015年9月19日に戦争法の「採決」を強行、そして本日の戦争法施行に至った。この動きに対し圧倒的多くの憲法学者・研究者はもとより、全国各地で各界様々な人たちが垣根を越えて「解釈改憲反対、立憲主義を守れ」と反対の声をあげ、各地で行動を起こしてきた。野党も、これまでにない団結と連携を深め、安倍政権の暴走を止めるために奮闘した。
しかし、安倍政権はこの国会内外の圧倒的な反対の声を無視し、ついに戦争法を施行した。この過程で明らかになったことは、国の最高法規である日本国憲法を否定し、じゅうりんしてやまない安倍政権のファッショ的政治に通じる極めて危険な姿である。
■安倍首相は再三、来たる7月の参議院選挙で改憲勢力が3分の2以上の議席を確保し、在任中に明文改憲に着手することを明言している。また、衆参同日選挙もうかがっている。そのための消費税増税や戦争法の発動の先送り、沖縄辺野古新基地建設の一時中断などの策を弄し、乗り切りを図っている。自公をはじめとした改憲勢力が仮に衆参両院で3分の2以上の議席となれば、今や憲法9条の解釈改憲から明文改憲へと待ったなしの状況が生まれる。しかし、国民は安易な改憲を望まず、憲法は日々の生活に根付いている。そのため、安倍内閣は憲法9条の全面的な改悪に向かうための突破口として、「お試し改憲」として「非常事態条項」をあげている。2012年の自民党憲法改正草案には憲法98条と99条を新設する緊急事態条項がある。安倍政権はこの間、国外に敵を意識的につくり出す演出を繰り返し、国内では東日本大震災の惨禍を踏み台に利用してきた。こうして緊急事態条項の必要性を国民に刷り込み、非常事態条項の「加憲」に着手しようとしている。この条項の狙いは国民の基本的人権を縛り、首相と政権与党に独裁的権力を委ねるものである。まさに「お試し改憲」どころか、非常事態条項による改憲は憲法3原則を踏みにじるものであり、断じて許すことはできない。
■安倍政権の逆走を今こそ止めなければならない。立憲主義、民主主義のために野党は参議院選挙で3分の1以上の議席を確保しなければならない。この間の全国各地の運動は60年安保を上回り、その中から「共同選挙」を求める声が沸騰している。改憲を阻むための共同選挙・共同候補者の擁立に向けて各選挙区で急ピッチの調整が進んでいる。この動きを加速させよう。同時に、自公両党のみならず、おおさか維新の会などの改憲候補者を叩き落とそう。また、全国2000万人署名運動と違憲訴訟の闘いを成功させよう。
安倍政権の格差と貧困政策にあえぐすべての人びとが手を結び、安倍政権打倒に向けて巨大なうねりを創り出そう。
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