安倍内閣は11月15日、自衛隊の南スーダンPKO派遣のための新たな実施計画を閣議決定した。自衛隊のPKOはこれまで10次にわたり派遣され、現地で施設部隊として道路整備や施設構築をしてきたが、今回の自衛隊派遣はこれまでの国連平和維持活動(PKO)とは異質であり、武器の使用基準を緩和し、自らの生命の危険に対する防御を超え、「駆け付け警護」「共同防衛」の名による武力行使が公然と認められる、戦闘部隊としての新任務であり絶対に容認できない。今回の南スーダン派遣について、政府はPKO参加5原則の範囲内であり逸脱していないと強弁している。しかし、5原則の一つである紛争当事者間の停戦合意は守られていない。南スーダンのキール大統領と反政府勢力のマシャール第1副大統領は昨年8月に停戦合意をしたが、その後も武力衝突が続き、事態収拾に至っていない。さらに今年7月にも即時停戦に合意したが、11月の国連特別調査報告書では昨年8月の和平合意は崩壊したと断定している。にもかかわらず、安倍首相は11月15日の参院特別委員会で、「南スーダンの治安状況は極めて悪く、多くの市民が殺傷される事態がたびたび生じている」と言いながら、「武力紛争が発生したとは考えていない」と強弁した。陸上自衛隊が稲田朋美防衛相に提出した「現地状況報告」は項目欄以外は全て塗りつぶされた状態で開示されている。今回の南スーダン派遣は、自衛隊が海外で初めて武力行使をし、「殺し、殺される」事態を生み出すことは十分予見できる。日本のやるべき国際貢献は、武力行使を前提とした自衛隊派遣ではなく、国際的な非政府組織(NGO)への援助と派遣などを通じ、インフラの回復や人道援助等を行うことなど多岐にわたる。日本はこれまで、平和国家として国際的な信用・信頼を得てきた。新たに付与された自衛隊の南スーダン派遣は、平和国家日本の歴史を根底から崩すものであり、私たちは閣議決定の撤回を強く求めるものである。
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