香港でダイヤモンド・プリンセス号から下船した乗客のひとりが、2月1日に新型コロナウイルスに感染していると診断された。2月3日に横浜に入港したダイヤモンド・プリンセス号はそのまま停泊を余儀なくされ、乗客・乗員の閉じ込めが始まった。
しかし、厚労省の対応ミスで船内は新型コロナウイルスのホットスポットとなり、3月4日現在国内の感染者は1千人を超えたが、その7割をダイヤモンド・プリンセス号の関係者で占めている。
対応の遅さや情報提供、検査体制の不備も含めて安倍政権の初動ミスは明らかである。その結果、国民のトイレットペーパーなどの衝動買いや人権侵害が起こっている。しかし、安倍首相は失政を取り返そうと、厚労省や文科省を飛び越え、専権的に長期の学校の一斉休校を全国に要請した。
しかし、突然でもあり要請は発令と受け止められ、現場の大きな混乱はもちろん、児童生徒や保護者の動揺と困惑を招くことになった。また休業による収入の途絶や減少の不安は当然ながら大きくなっている。このような要請をするからには万全の補償体制を構築するのは最低限の課題だ。
そしてかねてうごめいていた日本社会を緊急事態下に置こうとする動きが表面化した。恐怖心をあおられ、自粛要請だけでそれに流される日本社会にあって、新型コロナ対策における緊急事態宣言発動は、国民を自らのアンダーコントロールに置きたい安倍首相にとって願ってもない絶好の機会だ。私権を強制的に制限する権力の絶対的武器を、一切の反省なき権力者に与えることは国民主権にとどめを刺す悪例になるのは間違いない。
いま緊急に対応する必要があるのは、実体のない大言壮語や自らの権力欲を満たすことではなく、国民が安心できる予防と治療の医療体制の構築と経済的補償である。
そして消費税増税を起点として景気の大幅後退が始まり、コロナウイルスによって加速され、今やどん底に落ちようとする経済状況に対して、消費税を5%に戻すカンフル剤が必要であることも付言する。
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