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2011年7月5日 |
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日米同盟2プラス2 |
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普天間先送り
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日米両国の外務・防衛担当相による安全保障協議会(2プラス2)が6月21日、4年ぶりにワシントンで開かれ、05、07年の共通戦略目標を再確認、更新した。
政権交代の浮揚力から失速の原因となった沖縄の米軍普天間基地移設問題は、自民党政権時代の06年合意による米軍再編ロードマップの内容を再確認したが、時期は目標2014年には達成できないとして「できるだけ早い時期に完了」と先送りした。
事実上の破たん宣言である。そこで、新たに中国脅威論を共通の認識に格上げし、アジア太平地域における日米同盟の深化・拡大を確認した。
再編ロードマップ破たん
日米共同文書は24項目の共通戦略目標と「在日米軍の再編の進展」「東日本大震災への対応における協力」「在日米軍駐留経費負担」の3つの文書からなる。民主党政権初の共同文書に、北沢俊美防衛相は「日本の政治勢力の80%以上が関わった。次なる50年に向けたいへん意義深い」と述べた。ここに安全保障面での政権交代幻想は完全に消え失せた。
共同文書は、「ますます不確実な環境」と「多様な事態」を抱える朝鮮半島から中東・北アフリカまでを視野に入れ、課題もグローバルに設定。日米同盟はアジア太平洋地域における「安定の礎石」、普天間基地移設は米軍再編ロードマップの鍵」なのだ。
その辺野古移設が、沖縄県民の「県内移設反対」の強い意思に押され目標時期が先送りとなった。地元名護市の稲嶺進市長は、「地元の合意を得ていない日米合意は全く意味がない」と頭越しの日米合意を批判。米国内でも国防予算削減の世論が膨らんでいる。上院軍事委員会が12年度グアム移転費を全額削減し、2+2合意は米議会承認に間に合わせるためのセレモニーだとささやかれた。
だが、在沖第三海兵隊機動展開部隊のグアム移転は、中国の南シナ海―西太平洋進出を牽制する不可避の布陣。名指しは避けながら中国をアジア太平洋地域の最大の脅威として位置づけ、軍事の開放性と透明性を求め、国際的な行動規範の順守を促した。「南シナ海の航行の自由は米国の国益」とみなす米国。ゲーツ国防長官は「米軍が主要海上路や通信機関にアクセスできない兆しが見える」との懸念を表明、7月1日にゲーツの後を引き継ぐことになっているパネッタCIA長官は、「中国の核戦力の近代化と宇宙サーバー空間における攻撃能力」を警戒し、空と海一体の戦闘「エアー・シーバトル」構想をぶち上げた。
自治体レベルに深化
沖縄をエアーポケットに日米同盟の能力強化、抑止力の維持が着々と進む。06年以来、米側から解禁を迫られていた海上発射型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)の第三国への輸出が今回正式合意された。これはミサイル防衛システム(MD)の世界配備の一環で、日米が共同開発した同ミサイルのポーランド輸出を目論んでいる。
さらに鹿児島県馬毛島を米軍空母艦載機離着陸訓練の恒久基地化計画、垂直離着陸輸送機MV22(オスプレイ)の普天間基地への配備計画(2012年から24機)、沖縄県宮古島市の下地島空港をアジア太平洋地域の災害特設拠点とする構想を掲げつつ自衛隊の島嶼防衛基地とする計画など、日米同盟はヒドラのように増殖中だ。日本は米軍に基地ばかりか駐留経費として今後5年間に1881億円相当額を継続負担することになった。
共同文書は、東日本大震災における「トモダチ作戦」の真の意味を公にした。同作戦は「二国間の特別な絆を証明」「長年にわたる二国間の訓練、演習及び計画の成果を証明」と評価。そして「この経験は将来のあらゆる事態へのモデルとなる」と言い切った。
原発事故についても「最高水準の安全を促進し、事故対処能力を向上させる」と、原発を日米同盟の枢要な課題に置いた。また大震災を機に、自治体レベルの防災訓練に米軍の参加が期待されている。日米同盟は草の根レベルまで深化する。
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