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 新社会党
2011年7月12日

  何のための節電か
     全原発再稼動へ  


 政府は、7月1日から9月まで東京電力と東北電力の管内で第一次石油ショック以来37年ぶりとなる電力使用制限令を発動した。500キロワット以上の大口需要家を対象に、昨夏比で15%の節電を求め、違反者は100万円以下の罰金という国家統制色の強い政策だ。

 福島第一原発事故による電力供給不足をことさら煽り電力有事≠模擬実験、企業ばかりか学校や家庭も広く無差別に節電協力に動員し、産業・企業あっての国民生活を刷り込み、当面は原発再稼動の環境を整備することが狙いだ。


 許すな玄海原発の再開

 7月1日から日本中が節電ムードに包まれている。企業は始終業時間を改めたり週休3日制にしたりと勤務制度を変更して節電に対応。なかには個人用携帯電話の充電を禁止する企業も。

 鉄道は間引き運転、節電に協力した家庭に商品券を配る自治体も現れた。エアコンから炊飯器まで、家庭を節電に取り込めばキャンペーンは大成功だろう。

 原発事故が収まらず今後のエネルギー政策の方向が定まらないというのに、国民に不安と我慢を押しつけ、原発再稼動へと動く政府―。

 猛暑時に予想される電力不足は東京電力が2%、東北電力が7%。東電は需要ピークが5500万kW、供給力5680万kWと想定する。

 東北電の需要ピークは1480万kW、供給力1370万kW。不足分は東電から回してもらう手はずだ。福島第一、第二原発の停止電力は909万kW。その分は火力と揚水発電で十分しのげる。それでも計画停電回避を口実に電力有事≠演出する経産省。

 海江田経産相は、電力各社の株主総会で「脱原発」の株主提案が否決されたことを見計らい、古川佐賀県知事に九電玄海原発の再開を要請した。玄海の再開を引き金に、停止中の全原発の再稼動へつなげる道筋を描く。玄海は九電の緊急安全対策も、原子力安全委員会の安全設計審査指針の改定も待たずに見切り発車となる。

 節電は電気料金値上げの環境整備でもある。経産省は事故賠償財源に電気料金16%値上げ案を暖めている。原発停止で2121円の値上げと試算する学商の援軍も現れた。節電は原発全停止→脱原発が前提でなければならない。
 再稼動などは論外だ。





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