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2011年10月18日 |
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「原発がなければ」 |
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命まで預けていない
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政府の福島第一原発事故対策が除染と補償に絞り込まれ、あたかも放射能汚染は収束に向かい、原発の安全は回復されたかのような世論がなしくずしで作られています。他には見えない重圧が避難者らにのしかかり、福島から私たちを切り捨てないでとの叫びが聞こえてきます。ここに紹介する国分富夫さんは、事故発生後、南相馬市から南会津町に避難し、そうした避難者の声を聞き、それを全国の「脱原発」の運動に返しています。
南相馬の避難者 国分富夫さんの話
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わが家の避難生活は3月12日午後4時に始まりました。その日の午後3時36分、1号機建屋が水素爆発で吹き飛び、これはただ事じゃないと家族を車に乗せて着の身着のまま、危険だ、逃げろと声をかけてどんどん福島市に逃げました。
息子の子、私の孫が生後1カ月半、とにかく遠くへと会津若松へたどり着き、そこで車の中でペットと一緒に2泊しました。今は南会津町に避難していますが、あの頃は3月下旬です。とても寒く、雪が1メートルほど積もっていました。
新潟、埼玉、宮城、北海道へ逃げた人、80歳以上のお年寄りや赤ちゃんを連れて7、8カ所を歩いた人、いくら親戚だといっても長く世話にはなれません。結局、福島県の体育館や集会所の第1次避難所に戻って来ざるを得ません。避難の途中で亡くなった人もいます。義理の姉は入院していて、たらい回しの末に会津若松中央病院へ行った時は意識不明となり、4月22日に亡くなりました。
第1次避難所が閉鎖されて、ホテル・旅館など第2次避難所に移りました。そこは県が主体となって1人1日3食付5000円をもつことになっていました。ホテル・旅館側にしてもキャンセルが相次ぎ、ありがたいことだと聞いています。
私は南会津で避難者をサポートする臨時職員の募集に応募して、採用されました。面接会場へ行くと、就職難で20〜30歳の若者ばかり、65歳過ぎは私一人、町が期待した避難者からの応募も私一人でした。
たまたまホテルにお客があって、避難者と食事が一緒になるときがありました。避難者はお客のおかずを横目で見ますね。その大変な違いに、奥さんが泣いて訴えました。何で私たちはこんなみじめな目にあわなくちゃならないのか、原発がなければ好きなものを食べて好きなことをやって人生を送れたのに、と涙をボロボロ流すのです。
うつ病になる人、引きこもりになってしまう人、病院通いをする人が出てきました。被災者は健保の一部負担が無料です。病院に行った人から電話がありました。医者からタダだから来たのだろうと言われたと言うのです。それが本当だったら医師の資格がない、情けなくなりました。
子どもはかわいそうです。県外に行った親から、子どもが「放射能、放射能」「移るから来ないで」と言われ、下駄箱の靴に画鋲が入れられていて、もう学校に行きたくないと訴えているという話が伝えられました。
私の小学校5年の孫が車の中で、昨年のまつりのチラシを見ながら「このまつりやるのかな」とポツリと言いました。顔を見ると涙を流している、避難している多くの子どもたちが同じ思いをしているのかと涙が出ました。
子どもたちに何を食べたいかと聞くと、みんな肉、肉と言うので、安い肉を焼いて腹いっぱい食べさせました。残念ながら肉は外国産を買いました。風評被害と言いますが、孫には福島の肉は食べさせられません、農家を守るとかの問題ではありません。生産者も原発を憎み、東電や国と闘うべきです。子どもたちはよく食べました。腹いっぱいになって、あとは元の学校に戻りたい、友だちに会いたいと揃って同じことを言います。
除染除染の市町村 補償への取り組みを
3月24日から30日にいわき市、中通り、川俣町、飯舘村のゼロ歳から15歳の甲状腺検査をしたところ45%が被曝していたと発表されました。私たちは東電や国に命まで預けていません。
政府や市町村は除染、除染と言いますが、山や田を含めると除染はきりがなく、除染して放射性物質が消えるわけではありません。また、補償についての冊子が送られてきましたが、補償額は被害者が決めるのではなく、東電が内容を含め限度額を決めている。被害者と加害者が逆転している。国策で原発を建設してきた責任からすれば、地方議会も国会も国民を守る立場として本気に取り組むことだ。嫁さんが子どもを連れて九州の実家に逃げて、夫婦バラバラという人がいっぱいいます。そういう精神的苦痛だけでも500万、1000万は当たり前です。
第3次避難所は、仮設か借り上げ住宅になります。みんながバラバラになって話し相手がいなくならないように活動しなければなりません。このままでは日本は原発によって沈没しかねません。地球も破壊されます。そうならないように「核のない世界」の実現へ頑張ります。
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