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2011年12月13日 |
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沖縄防衛局長の暴言 |
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県民、差別に怒 アセス中止を
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米軍普天間基地の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の沖縄県提出が年内に迫り、作業の現場責任者である田中聡前沖縄防衛局長の沖縄と女性を差別するオフレコ発言が11月29日の『琉球新報』朝刊にスクープされた。
基地問題を通してこれでもかと侮辱され、人間の尊厳を踏みにじられてきた沖縄県民の怒りは、野田政権を揺るがしている。
田中前局長は28日夜の酒席の記者懇で、アセス評価書提出時期を明言しない理由を問われ「犯す前に犯すと言いますか」と述べ、1995年の少女暴行事件当時の米太平洋軍司令官の発言(「車を借りる費用があれば女が買えた」)を肯定した。
沖縄を強姦の対象とみなすこの暴言は、個人の資質が原因ではない。その安保・沖縄観は、日米両国の防衛・外上暗黙の了解知なのだ。また、移設に進展がなければ普天間基地は残るとの脅し文句も、「沖縄はごまかしの名人」と述べて更迭されたケビン・メア前駐沖米総領事の『決断できない日本』(文春新書)のコピーかと見紛うだろう。
年内のアセスメント提出は、10月12日の日米首脳会談での対米公約。問題発覚の当日、一川保夫防衛相は即陳謝して田中局長を更迭、1日おいて野田首相が陳謝、中江公人防衛次官が仲井真弘多知事に陳謝、12月2日には防衛相自身が沖縄に出向き県民に陳謝した。
だが、田中前局長も一川防衛相、野田首相も「アセス評価書の年内提出は変更しない」と明言。陳謝は、対米公約実現のための儀礼にすぎない。田中前局長は「基地問題に精通」した「沖縄通」、「米軍再編」「辺野古移設」の切り札としてこの8月に任用された。その本音に沈潜する感覚は、日本の防衛・外交を蝕む病理である。問題の歴史的根源は、日本の独立と引き換えに沖縄を人身御供に差し出した天皇メッセージに遡る。基地問題は、この構造的差別との格闘の歴史であった。
野田政権は2012年度予算案に沖縄への一括交付金を盛り込み、日米地位協定の運用見直しというアメを提供してアセスメントの乗り切りを図った。だが、政権交代を機に構造的差別の撤廃へ踏み出した沖縄県民の意思は揺るがない。06年5月の「米軍再編のための日米ロードマップ」、96年12月の「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」合意は破綻した。その膿が田中暴言だ。
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