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2012.1.24
脱原発 世界会議
「日本は裸の王様」 

約30カ国の専門家、市民運動家が参加した「脱原発世界会議2012YOKOHAMA」が1月14〜15日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開かれ、2日間に延べ1万1500人が参加、最終日に原発のない世界を目指す「横浜宣言」を採択した。


30カ国1万1500人 

 開会に当たり、実行委員長の吉岡達也・ピースボート共同代表は「ヒロシマ、ナガサキ、フクシマと続き、それでも原子力から脱却できなければ、世界は日本をどう思うだろう。原発を輸出し、事故が起きたら日本の責任が問われる。脱原発・再生可能エネルギーへの転換の道筋を世界に発信しよう」と挨拶した。
 2日間のプログラムはトーク、アーチストラウンジ、シアター、ふくしまの部屋、海外ゲストと語ろう、子ども向け、持ち込み企画に分類。それが幾つものセッションで構成されて、討論と交流が切れ目なく続いた。

30カ国の専門家、市民を迎えて「脱原発」を世界に発信した。=1月15日、パシフィコ横浜 

 メインホールは、「福島原発で何が起きたか」「コミュニティー・パワーが創り出す100%自然エネルギーの世界」「問題だらけの原子力」「原発は止められる」「エネルギーシフトの道筋」「首長会議・原発に頼らない社会づくり」などのテーマでセッションが並ぶ。
 また、別会場では「世界のヒバクシャから学ぶ」「福島原発事故―被害の実態と被ばく最小化への提言」「放射能から子どもを守る―社会を変える子育て世代」「原発のない東アジアをめざして」など企画が多角的ならば、登壇者も内外から約100人と多彩だ。


 開会イベントでは、佐藤栄佐久・元福島県知事が「05年から06年に定期検査の手抜きなど内部告発が二十数件あった。経産省に原子力安全・保安院があって、泥棒と警察が一緒のようなもの。その原子力帝国の巻き返しが強い」と警告した。

 レベッカ・ハルムス緑の党・欧州自由同盟代表は、「ドイツは一夜にして脱原発を決断した。日本の状況は核戦争の後のようだ。避難の決定に透明性がなく、被災者が差別されている。事故はとても収束とは言えない。日本政府は被災者に耳を傾け、独立系の専門家の作業グループを作り、取り組んで欲しい」と1週間の滞在の感想を語った。
 飯田哲也・環境エネルギー政策所長は、「福島の事故は地球規模のとんでもない事故だ。日本は歴史の転換点にある。だが、原子力ムラは恥を知らない裸の王様だ。それを見た母親の革命が起きている。原子力から自然エネルギーへ、エネルギーシフトの中身を変えよう。それにはウイングを広げよう」と呼びかけた。
 オーストラリア先住民アボリジニのリーダーで「オーストラリア非核連合」のピーター・ワッツ共同代表は、「オーストラリアは世界のウランの33%を産出し、14カ国に輸出している。私たちも長い間、汚染に苦しみ続けた。核燃サイクルとウラン採掘を止めたい」と、豪首相に黄色い葉書を送る運動を紹介した。


 広島で被爆した肥田舜太郎医師は、「福島事故で大量の放射能が放出され関東、信越、大阪、九州から健康相談がある。遠くに逃げられない人は健康に生きる努力をすること。そして原発と核をなくすこと」と60年の研究の結論を語った。
 日本が原発を輸出しようとしているヨルダンのモオタシム・アワームレ国会議員は、「国民の大半は原発輸入に反対。持続可能な生活を目指したい」と日本政府を牽制。福島県郡山市から神奈川県に避難している富塚悠吏君(10歳)は、「大切なのは命ですか、お金ですか。僕には科学者になる夢があります」と元気に脱原発を訴えた。


 会議に並行して4500人が、横浜市内を「子どもを守れ」「東電解体」と訴えてデモ行進した。
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