新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 今週の新社会
  4. 2012.8.07
2012.8.7
オスプレイ岩国搬入
基地の縮小・撤去を 
広島・齋尾和望

 
 7月23日、垂直離着陸輸送機MVオスプレイがついに岩国の米軍基地に陸揚げされた。搬入を阻止しようと、早朝から「ピースリンク広島・呉・岩国」のメンバー25人はゴムボートで周辺海域に繰り出して抗議行動を展開したが、海上保安庁の護衛船に追い払われ、そのなかを輸送船グリーンリッジ号が基地に接岸。午前8時過ぎ、オスプレイが次々と陸揚げされ、午後6時頃には12機のオスプレイの陸揚げが完了した。この間、私たちは午後1時から米軍基地を臨む海岸で、600人が参加した反対行動実行委員会(大川清共同代表)主催の抗議集会に参加し、人間の鎖で抗議の声をあげた。集会では、地元市民団体のほか、沖縄、大阪からの参加者らが搬入阻止の抗議の声をあげた。


 オスプレイは、開発段階の91年6月2人負傷、92年7月7人死亡、00年4月19人死亡、同年12月4人死亡の事故を起こしている。その後量産体制に入って、07年にはイラク、09年にはアフガニスタンに投入されているが、今年4月にモロッコで墜落し4人が死傷、さらに6月米国フロリダ州の基地での墜落によって5人が負傷している。いわくつきの軍用機だ。


 野田首相は、「核兵器の持ち込みと異なり、通常装備の更新であるオスプレイ配備は日米合同委員会の事前協議事項ではない。だからといって(日本が)どうしろこうしろという話ではない」とうそぶいた。そして「日本が主体的に事故原因の究明をして安全性の確認があるまで飛ばさない」とまでは表明したが、政府の安心・安全宣言のまやかしは、原発事故で証明済みである。


 私たちは、オスプレイが安全か危険かを問うてはいない。オスプレイの配備はもちろん、基地そのものの縮小、撤去を求めている。


 騒音を減らすという建前の滑走路の沖合い拡張、厚木基地よりの空母艦載機59機の移転、それに伴う愛宕山への米軍関係者の住宅建設などを考えると岩国基地の機能強化は着実に進み、今回のオスプレイ配備もその流れのなかにあるのではないだろうか。


 この間、接岸埠頭の水深が8メートルから13メートルに掘り下げられている。岩国市議の田村順玄さんたちがその懸念を表明して市を追及していたが、オスプレイを輸送してきたグリーンリッジ号が3万2326トンであることを考えると、大型船舶の停泊を想定していたと推察される。


 事実、岩国基地のJ・スチュワート司令官は、「水深の深い港湾施設がある」、「海上輸送作戦を支援するに十分な能力を持つ港湾になる」と米軍内部報告書で明らかにしている。


 加えて、オスプレイの飛行訓練はすでに明らかになっている6空路に加えて、ブラウンルートといわれる中国山地を横断するコースも想定されているようであり、岩国基地の強化が着実に進められている。


 つづく4つの裁判


 私たちは今後も、次の4つの裁判、@米軍基地の沖合移設事業埋め立て承認処分の取消請求訴訟(原告団=田村順玄さん・藤川俊雄さん)、A岩国爆音訴訟(原告団長・津田利明さん)、B愛宕山開発事業認可取消処分取消請求訴訟(原告団長=岡村寛さん)、C愛宕山開発等に係る市民協議報告会非開示決定取消請求訴訟(岩国を守る会の「風」の南部博彦さん)、さらには岩国基地4訴訟原告団連絡会の大月順子さんと連帯し、引き続き基地縮小・撤去を求める闘いを継続していく。


 補足であるが、抗議集会には地元メディア他、関西からもテレビ局が来ていた。なお、翌日の新聞を見ると、地元紙『中国新聞』は大きく1面トップで取り上げていたが、『読売新聞』などは1面ながら小さな記事であった。
 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ