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2012.9.18
オスプレイ配備 撤回
沖縄県民大会 10万1000人 
沖縄・毛利孝雄

 
オスプレイ配備計画の撤回と普天間基地の閉鎖・撤去を求めた県民大会に10万1000人が参加した=9月9日、沖縄県・宜野湾海浜公園
 ところどころに浮かぶ白い雲以外は、真っ青な沖縄の空。9月9日、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」会場の宜野湾海浜公園に向かって、歩道を埋め尽くして続く人波。戦中・戦後の沖縄を生き、そして沖縄の今を生きる様々な世代の人たちが、それぞれの思いを旗に、ボードに、衣装に込めて、シンボルカラーの「赤」に会場を染め上げる。基地に隣接する普天間第二小学校の児童・教師らの姿も。


 10時、プレイベントとして若手ミュージシャンらによるライブが始まる。11時、10万1000人の参加者の視線が集中するなか「県民大会」が開会。共同代表5名のスピーチが続く。

 
 会場がどよめく瞬間が3回あった。一つは、大会不参加のため代読となった仲井真弘多県知事メッセージに対するブーイング。
 二つは、「みんなが力を合わせれば、危険な基地は平和な街に変えられる。この空は県民のもの…」若い世代の責任を率直な言葉で呼びかけた沖縄国際大学学生・加治工綾美さんへの拍手。
 三つは、「高江にもオスプレイは飛ばさせない」と、加藤裕沖縄弁護士会会長が閉会挨拶のなかで、連日の工事強行に抵抗を続ける「高江」に言及した瞬間。


 いずれもが、大会参加者の切実な期待を示した瞬間だった。
 大会は、オスプレイ配備計画の撤回と普天間基地の閉鎖・撤去を要求する決議を採択、さらには「今後、各市町村・地域での集会の開催/週1回の基地ゲート前行動の検討/日米両政府への要請行動」などを内容とする行動提起を確認した。


 大会後は、平和市民連絡会などの呼びかけによる、普天間基地大山ゲート前での抗議行動も取り組まれ、基地フェンスは赤いリボンで彩られた。


 11日には、森本敏防衛相が来県した。オスプレイの10月配備が近づくなか、沖縄の闘いはいよいよ正念場を迎える。





 緊迫静けさ 沖縄へ 〜命と向き合う〜
                     
〈新社会党委員長 松枝佳宏〉



 私は幾度となく沖縄を訪ね、県民大会や集会に参加しているが、今大会ほど「緊迫した静けさ」を体感したことはない。


 怒りがないのではない、熱気がないのではない。だが、出席しなかった仲井真知事のメッセージ代読にブーイングがあったぐらいで、次々に登壇する弁士の声は取材のため飛び回るヘリコプターの音にも邪魔されることなく会場の隅々まで届いたであろう。


米軍普天間基地大山ゲート前でオスプレイ配備反対を訴える県民ら
 本土へ帰り新聞を開き、沖縄との落差に愕然とする。そして「静けさ」の背景にあるのは、沖縄は「戦争の最前線基地」であり、大会に参加した老若男女一人ひとりが、沖縄戦、そして基地があるゆえに被った事件・事故に思いをはせ、改めて命と向き合う姿ではなかったのかと考える。


 尖閣、竹島など領土問題をめぐってきな臭い。「固有の領土(国)を守る大義」(=戦争)のために、オスプレイの機動性、輸送力は重要であり、墜落事故など大義の前には小さな犠牲にすぎない。これが日米両政府の本音である。


 事実、オスプレイの訓練基地として、高江ヘリパッド基地建設は強行されている。強い権力の前に、本土から切り離され「沖縄差別」の上に、また、命という重い犠牲が強いられようとしている。どう立ち向かうのか、静けさは沖縄県民の思いの現れなのである。
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