新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 今週の新社会
  4. 2012.9.25
2012.9.25
2030年に「原発ゼロ」
野田政権が譲歩 

 
 政府の「エネルギー・環境会議」(議長・古川元久国家戦略相)が9月14日、「2030年に原発稼働ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入する」という新エネルギー戦略を決定した。

 
 新戦略は「原発に依存しない社会の1日も早い実現」へ、@40年運転制限を厳格に適用する、A原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする、B原発の新設、増設を行わない、以上3つの原則を掲げた。


 その上で、@核燃料サイクルについて再処理事業を継続する、高速増殖炉「もんじゅ」は年限を区切って成果を確認して研究を終了する、A技術・人材の維持・強化、B国際社会との連携、C立地地域対策の強化、D原子力事業体制と損害賠償制度の在り方を検討する、とした。


 新戦略は、過酷な福島第一原発事故・脱原発運動と世論の高まり・総選挙間近の情勢がもたらした政権側の譲歩である。


 だが、「原発ゼロ」への道筋は「不断の見直し」を予定し、矛盾だらけ。自民党復権で新戦略が反故になることも十分予想される。


 第一に、新戦略は法制化措置を回避し、閣議決定すら定かではない。第二に、再稼働を判断する原子力規制委員会が9月19日に国会同意抜きで発足し、元原子力委員会委員長代理が委員長に就任。「政治の意向」が反映されないことも想定される。第三に、9月15日に枝野経産相は、建設中の原発(Jパワーの大間、中国電の島根3号機、東電の東通1号機)は工事を継続すると表明。3基の寿命が終わるのは50年代となり、「30年代にゼロ」方針とは矛盾する。第四に、核燃サイクルについて、使用済み核燃料の再処理継続は「原発ゼロ」に反する。しかも、枝野経産相はプルサーマル発電(関電の高浜3号機、四電の伊方3号機、九電の玄海3号機)の続行を明言。また、「もんじゅ」は、原案の「研究炉のへの転換」が「研究の終了」に変わった。


 今回の「原発ゼロ」方針に米英仏の原子力・安保マフィアと日本の原子力ムラが猛反発。新戦略の説明に米国へ飛んだ長島昭久首相補佐官は、米国に「ゼロは目標」と伝えた。闘いは続く。


 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ