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2012.10.02
日中友好を破壊
尖閣国有化の愚 

 
 尖閣諸島を巡る日本と中国の領有権問題は日本の国有化宣言を機に一気にこじれ、9月23日、日中国交正常化40年式典が中止の事態に発展した。中国では「愛国無罪」の反日デモが燃え盛り、満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)から81周年の9月18日には100以上の都市に飛び火。影響は経済・文化・スポーツ交流の中止・延期へと広がっている。日中対立を煽る国内勢力の台頭を許さず、領土問題を棚上げして日中友好の再構築へ、対話と交渉による外交解決を求める世論を大きくしたい。


 棚上げ合意に戻れ


 国有化宣言により尖閣諸島3島は海上保安庁の所有となった。紛争のきっかけをつくった石原都知事の購入計画を牽制し、外交交渉の余地を残すと踏んだが甘かった。中国で反日デモが広がった16日、野田首相は「尖閣諸島は歴史上、国際法上も日本の領土」と繰り返した。


 一方の中国は国有化を国交正常化以来の「棚上げ合意」の破棄と受け止め、中国外務省は「日本は甲午戦争(日清戦争)の末期、清政府の敗北に乗じて釣魚島を盗み取った」との声明を出した。


 領土問題は、武力紛争に発展しない仕組みをつくることが肝要だ。日中双方に和平志向と紛争志向の勢力がいる。紛争志向の権力者は民衆のナショナリズムを煽り、自国の論理を正当化して好戦的な世論をつくる。


 中国の反日デモに「打倒日本、もう戦争だ」とのスローガンが登場したが、これは日本の排外主義デモにも見られる現象だ。


 武力衝突となれば、経済力と軍事力で中国に劣る日本は米国に頼るしかない。来日したパネッタ米国防長官は、領土問題では「どちらの肩も持たない」「日米安保条約の義務を遂行する」との米国の伝統的2原則を伝えた。尖閣諸島を日本が実効支配している限りは、日米安保条約を適用するという考えだ。


 次の国家主席に内定している習近平副主席が平和解決のサインを出した。これを受けとめること、石原都知事らの挑発に乗らないこと、米国頼りではなく国際平和を視野に憲法の命ずる道を歩むこと、だ。


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