7月23日に日本に飛来して以来、米軍岩国基地に臨時駐機していた米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイMV22全12機の沖縄・普天間飛行場への移動が10月6日に完了、あくまでも「配備撤回」を求めるオール沖縄県民の声を無視して、米軍は連日お構いなしの飛行訓練を続けている。日本を軍事戦略上の「属国」と見なしてきた米国。それを無条件で受け入れ、初めからオスプレイ配備ありきで沖縄を「捨て石」にする日本政府。こんな政治はいらない!沖縄と日本の未来をかけてオスプレイ配備撤回の闘いは続く。
沖縄では県知事も県議会も、41市町村長も同議会もオスプレイ配備に反対し、10万人が参加した県民大会でその意思を表明し、配備が始まった10月1日以降は基地の主要ゲートを封鎖、県警機動隊によるごぼう抜き・拘束に遭いながらも抗議行動を続けている。
予定の9月配備が10月にずれ込んだことを「失態」とする米軍は、県民の意思を無視して強行配備したばかりか、オスプレイの運用ルールに関する日米政府の「合意」を黙殺。県民は連日、人口密集地の上空を飛行し、地上150メートル以下の低空飛行をし、基地以外でヘリモードに転換飛行するルール違反を、これ見よがしに見せつけられている。
騒音も旧型機(CH46、CH53)に比べて低いと防衛省は言うが、名護市辺野古の国立沖縄工業専門高等学校付近で観測された数値は最大82・4デシベル、CH46の最大値より12・5デシベル高かった。離着陸時の粉じんの問題もある。何より伊江島補助飛行場のコーラル滑走路は、日米環境審査で「離着陸帯として利用しない」と合意されていたにもかかわらず、10月6日、オスプレイはヘリモードで着陸した。
こうしたオスプレイ被害を目の当たりにして、「怒り心頭」「政府の安全宣言は嘘っぱち」「沖縄を切り捨てにするのか」と、県民の怒りは日本政府の厚顔無恥に向けられている。県民は「普天間基地で危ないものは辺野古でも危ない」「本格的な訓練が始まったら高江にも辺野古にも抗議に行く」「長期戦になってもしつっこく撤回を求める」と、オスプレイ配備撤回の意思はむしろ固まっている。
県民から米軍に運用任せの責任を問われている日本政府。10月9日、仲井真沖縄県知事は日米合意の徹底的な順守など現実的な対応を求めたが、野田首相は拒否。かねて「日本の安全のためにトータルで理解してもらいたい」と強弁している森本防衛相はこの日、「沖縄以外でも負担を分かち合う必要がある」と踏み込んだ。
日本政府にとって米軍の抑止力向上は尖閣問題で中国との対抗上、望外の喜び。米軍にしてみれば用済みになりかねない海兵隊の存在意義を確守し、軍事予算削減を回避したいという思惑がある。
両者の意気投合する点は、普天間基地の早期の辺野古移設だ。危険なオスプレイを辺野古に集約するための飛行アピールなのだ。さもなければ、運用ルール合意に住宅密集市街区のど真ん中にある普天間基地の上空飛行を制限するとの一項を盛り込むわけがない。
沖縄県民をペテンにかけた日米合作のオスプレイ配備。復帰40年の沖縄と日米両政府との亀裂はかつてなく深い。まず、日本の政治から変えよう。
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