被災地の復興とかけ離れた復興予算の流用は、政治家と官僚による財界のための予算の横流しであることが判明した。国民は被災地復興の緊急性を願う観点から、所得税と個人住民税の増税をのまされた。その基本理念を否定する流用は「納税者への裏切り行為」との批判に、政府は13年度予算編成に向けた事業仕分けの中で流用問題をウヤムヤにする腹だ。総選挙が迫り、同じ流用の構図を消費税増税に適用させないためにも、生活復興に苦闘する被災地の怒りを総結集するときだ。
消費税増税もアブナイ
復興予算は2011年度補正第1次4兆円、第2次2兆円、第3次13兆円の合計19兆円。期間は15年末までの5年間。うち2・8兆円を経費減額と決算剰余金で賄い、残り16・2兆円を復興債で購う。
主な財源は所得税の2・1%を25年間増徴収、個人住民税からも14年度から10年間1000円増税。一方、法人税はこの4月から3 年間10%徴収し、同時に法人実効税率を5%恒久減税する。
枝野経産相は「被災地の産業の復興」は「被災地以外の企業を支えること」で実現すると言う。復興基本法も復興基本方針も、「日本の再生」が目的だ。
流用は各省に及ぶ。調査捕鯨支援に流用した農水省は「捕鯨基地がある石巻市の支援につながる」、東海村のホットラボ施設の解体等に流用した文科省は「福島第一の廃炉のノウハウを得る」、自衛隊輸送機購入に流用した防衛省は「復旧活動で旧型機の運用停止が早まった」などと嘯く。
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