安倍政権は1月11日、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。これは財政出動・金融緩和・成長戦略の「三本の矢」の第一の矢。財政規模は10・3兆円、事業規模20・2兆円、その財源を12年度補正予算で担保する。とはいえ、10・3兆円のうち国債発行額5・2兆円。「縮小均衡の分配政策」から「成長と富の好循環」へ、「世界で一番企業が活動しやすい国」へ、いわば「人からコンクリート」へ揺り戻し、なりふりかまわずデフレ脱却を目指す。
補正予算配分の分野は復興・防災対策(財政支出3・8兆円)、成長による富の創出(3・1兆円)、暮らしの安心・地域活性化(3・1兆円)の3つ。安倍首相は「史上最大規模の経済対策で景気の底割れを防ぐ」と豪語。60万人の雇用増、GDP2%の押し上げ効果を狙う。
そこで目に付くのが軍事(防衛)予算だ。防衛省の要求は1805億円。PAC3ミサイル、海と空の哨戒ヘリ、03式中距離地対空誘導弾、最大規模災害用輸送ヘリや救難ヘリなどの購入。F15戦闘機4機改修、トラック・オートバイ整備、通信機能強化、駐屯地・基地の整備などを予算化した。
軍事予算の性格が変わった。武器の性能向上支出に加えて、経済成長と富の創出のための打ち出の小槌の役割を担うに至った。
11年ぶり予算要求増
安倍政権の安保・外交政策は日米同盟を軸に対中国牽制へシフト。安倍首相は小野寺防衛相に防衛計画大綱と中期防衛力整備計画の見直しを指示。13年度の概算要求は11年ぶりに増、1200億円積み増しの4兆7653億円となった。
さらに日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を見直し、集団的自衛権行使の環境整備に乗り出す。日本版NSC (安全保障会議)の設置、オスプレイや無人偵察機の導入へ調査・研究も予算化される。
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