2013年度政府予算案が1月29日の臨時閣議で決定された。一般会計の総額は92兆6115億円、前年度予算より0・3%下回り、また国債発行額も44兆円枠以内に抑えて「引き締まった予算」と自画自賛。しかし、31日に国会提出された12年度補正予算案の10・3兆円を合わせるとたしかに「15カ月予算案」となる。しかもデフレ脱却策(アベノミクス)の二の矢に位置づけられた安倍財政は公共事業を15・6%、防衛(軍事)費も0・8%増とする一方で生活保護費の基準額などを切り下げる。絵に描いたような「人(生活)よりコンクリート」(ゼネコン)の財政だ。
公共事業のキーワードは「防災・減災」。老朽化した道路やトンネルの補強は当然。だが、未開通区間の高速道路整備、北海道新幹線の着工、八ッ場ダムの本体工事と、建設業界が沸き立つはずだ。
防衛費は11年ぶりの増額。自衛官を287人増員。敵は中国、装備の近代化を進める。次期戦闘機F35二機購入に299億円等。軍需産業が潤う。
原発予算は「ゼロ見直し」が先行して前年度比6%増。廃炉・除染の研究は大幅増、もんじゅは維持、原発の海外輸出企業に支援、稼働停止中でも立地自治体に交付金。原子力ムラの生命維持装置は健在だ。
肝心の社会保障費は自然増(10・4%)の29兆1224億円。生活保護費も2兆8224億円と300億円増。だが、この8月から3年間に基準額と期末一時扶助が740億円削減(7・3%)される。特別控除削減との合計で850億円の削減(8・3%)。夫婦と子1人世帯は、17万2000円が15万6000円に減額される。
教育は、小3〜中3の35人学級への予算措置はなし。全小中学生用の「心のノート」には8億円。教育が安倍カラーに染まる。
安倍首相
「憲法96条改正に取り組む」「普天間は(辺野古に)移設」
安倍首相は1月30日の衆院本会議で、日本維新の会の平沼赳夫議員の代表質問に答えて、憲法改正の発議要件を定めた96条改正に取り組むと答弁した。
96条は、憲法改正は衆参両院で3分の2以上の賛成で発議することを規定。自民党は昨年4月に発表した改憲草案で、このハードルを下げて「過半数」としている。昨年の総選挙で改憲勢力が激増するなか、安倍政権は衆院憲法審査会の新メンバーを決めた。自民31、維新6、民主6、公明3、みんな2、共産1。社民はゼロだ。
また、この日の国会答弁では、安倍首相は米軍普天間基地の移設問題に言及。2月2日に沖縄を訪問、仲井真沖縄県知事に国会答弁をそのまま伝えた。
国会答弁は「現行の日米合意に従って進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に取り組む」「普天間の固定化はあってはならない。沖縄の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しつつ移設を進める」というもの。
これを首相から直接聞いた仲井真知事は、県外移設が「県民の強い願い」であることを伝えた。また、オスプレイの普天間配備に反対の意向を聞いた安倍首相は「訓練をなるべく県外に移す努力をしたい」と応じ、配備の撤回要求をかわした。
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