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2013.7.9
過労自殺遺族
ブラック企業根絶を 


 参議院選挙本部の大垂れ幕がかかった自民党本部(東京・永田町)前。6月28日午後3時、「自民党は渡辺美樹を立候補させるな」「森美菜さんの過労死を忘れるな」の唱和がひびいた。名指しされた渡辺美樹(53歳)は居酒屋チェーン店「ワタミフードサービス」の前取締役会長。5年前の6月12日、ワタミ入社2カ月の森美菜さん(当時26歳)が過労自殺に追い込まれるという傷ましい事件が起きた。その責任を認めることも、謝罪することもない渡辺前会長を自民党は参院選比例候補として公認した。この日、美菜さんの遺族、両親が自民党本部に「若者を死ぬまで働かせ、殺す社会をつくりたいのですか?!公認を直ちに撤回してください。ブラック企業対策、過労死防止対策に全力で取り組んでください」と要請。この行動を全国一般東京東部労組(菅野存委員長)が支援した。


 若者の使い捨てに抗議


 居酒屋を核に農業、介護、高齢者向け弁当宅配に事業を拡張したワタミ。その労働実態は、渡辺会長の号令「365日24時間死ぬまで働け」に象徴される。法律を無視し、若者を使い捨てにする「ブラック企業」だ。
 美菜さんの過労自殺は昨年2月に労災認定を受けた。月の残業時間は過労死ラインを大幅に超える141時間。労働契約書はなく、入社前には「所定内労働8時間、週休2日制」と説明されたが、入社すると「営業時間が勤務時間」だった。
 残業の取り決め(36条協定)はあらかじめ会社が指定したアルバイト社員が代表として署名。美菜さんの勤務は午後3時から翌朝3時30分までの12時間。長時間深夜労働、短い休憩時間、閉店後は社宅に帰る始発電車まで休憩室のない店内で待機。また、休日出勤、強制的なボランティア、早朝研修、社訓の暗記、レポート作成と休養時間を奪われていた。
 賃金は基本給にその他手当が含まれ、ブレザーや渡辺前会長の著書の強制購入、種々の積立金が天引きされていた。疲労困憊した美菜さんは精神を病み、自殺に追い込まれた。
 遺族はワタミに美菜さんの労働と経営の実態解明、謝罪と再発防止を求めてきた。しかし渡辺会長は、謝罪はおろか会おうともしなかった。
 当日、遺族は美菜さんの遺影を持って上京。自民党は施設管理担当者が応対し、事実上の門前払いにした。
 母の祐子さんは「自民党の対応はワタミ本社と何ら変わらない」と肩を落とした。父の豪さんは「人間なら、人の親ならば、日本のことを本当に思うならば受けとめてくれると思いたい。今日は遺族の義務として来た。渡辺美樹のような人物が自分たちに都合のいい法律を作り、若者を酷使する社会をつくるならば、一番関係のある私たちがやらなければならない」と語った。



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