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2013.8.06
黙ってられない
平和とくらし 危機迫る 


 参院選で圧勝し、衆参ねじれを解消した安倍政権とその周辺から、軍事(防衛) ・経済・原発・社会保障の分野で「平和と暮らし」を破壊する隠しダマ政策が一気に噴き出した。選挙戦前の警告は、景気待望と中国等脅威論、消費税増税など不人気な政策の後出しによってかき消された。しかし、憲法・TPP・原発・社会保障などの重要課題で政権と民意のズレは大きく、安倍政治の加速化とともに堆積した矛盾が噴出し、向こう3年を待たず民意が離反するときがくる。


 ●防衛政策
 まず、防衛政策の大転換に踏み切った。7月26日、12月策定の「防衛大綱」中間報告が発表された。陸自の水陸両用部隊の拡充、敵基地攻撃能力の保持など海兵隊機能の強化が盛り込まれた。加えて無人偵察機の導入、武器輸出三原則の緩和を明記。自衛隊の「専守防衛」原則を事実上、反古にする。
 憲法解釈上、否定されている集団的自衛権行使を容認し、日本版NSC(安全保障会議)設置法案の成立を狙う。ここに、第9条のなし崩し改憲が限界点まで進む。このため防衛省は、自衛隊の運用に文官(背広組)が関わる運用企画局の廃止を決めた。文民統制のタガが緩められる。


 ●TPP
 参院選投開票の翌々7月23日、日本はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加した。TPPはアベノミクス成長戦略の柱。日本のTPP戦略は農産品5品目の一部関税を例外に、他の分野を開放するというもの。しかし、農業を犠牲に自動車などグローバル独占企業の利害を優先することが基本だ。
 交渉の事実上の主役は米国のグローバル企業。日本は米国とともに地域の市場開放による利を貪る。TPPは各国の「国益」をかけた、弱肉強食のグローバル競争の条件整備。TPPは国家主権はもとより、結局、国民の権利を侵害する。


 ●原発
 参院選投開票の翌22日、東電は福島第一原発で放射性物質による汚染水が海に流失したと発表した。原発再稼働を前提とする自民圧勝で、事実隠蔽に対する世論の反響を読んでの発表だ。
 さらに28日、東電は電源ケーブル用トンネル内の汚染水からトリチウムが許容限度の145倍の1g当たり870万ベクレルを検出したと発表した。
 一方、経産省は23日、廃炉会計規則を変更し、電気料金で費用を回収する方針を固めた。また、同省の基本政策分科会は24日の会合で、エネルギー計画に原発の比率を明記せず、事実上の青天井とすることを確認した。
 福島県の原発避難者は今なお15万人。除染が遅々として進まない中、区域再編で帰還を促し、損害賠償の打ち切りに走る国・東電。それでも参院選で自民候補者が勝った。


 ●社会保障
 政府の社会保障制度改革国民会議が29日に「持続可能な社会保障」の構築へ、「給付の重点化、効率化」を重点とする最終報告案を提示した。国民の「負担増・給付減」のススメだ。年金の給付開始年齢の引上げ、70?74歳の医療窓口負担(1割)を2割化、介護保険料の引上げなどが検討されている。
 8月から生活保護費が1・5%カットされ、2014年4月から消費税8%引上げの検討も始まった。景気の動向(実質成長2%)次第とあって、7月発表の政府月例経済報告は「自律的回復」を告げた。



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