消費税増税へ秒読みが始まった。8月12日、この3〜6月期のGDP (国内総生産)が3四半期連続でプラスとなり、安倍政権は9月9日のGDP改定値発表を踏まえ、消費者物価、雇用・賃金、企業業績などを総合的に勘案し9月中に判断する模様だ。消費税増税の基本方針は、昨年8月の増税法案で14年4月に8%に、15年10月に10%に引き上げることが決まっている。その時期を遅らせるか、引き上げ率を小刻みにするかなど、ショック緩和論はあるものの、引き上げ方針に何らの変更はない。参院選までは蓋をしていた社会保障改悪案も、8月5日の社会保障制度改革国民会議の最終報告を受けて決定された。その改悪案は消費税増税による財源確保が前提。10月開会予定の臨時国会を控えて、この秋は消費税増税・社会保障改悪に反対する闘いが政治の焦点となる。
秋のたたかい始まる
消費税増税の景気条項は、2011〜20年度10年間の平均成長率を実質3%、名目2%と条件付けている。今回のGDP速報値は年換算で実質2・6%、名目2・9%と条件をクリアしていない。
しかも、GDPの6割を占める消費は0・8%増と低迷、それも宝石や時計など富裕層の購買力が牽引。肝心の労働者の賃金は横ばいとあって、デフレ脱却にギアがかかっていない。また、企業動向について輸出が円安で3%増、復興特需などで公共投資1・8%増だが、成長力のバネである設備投資はマイナス0・1%、住宅投資もマイナス0・2%と突破力に欠ける。
そのため、安倍首相は設備投資減税第2弾に加えて法人実効税率の引き下げの検討を指示した。法人実効税率は国税と地方税分合わせて35・6%。25〜30%引き下げると2・4〜3・2兆円の税収減となる。消費税増税1%分が企業優遇に回され、社会保障目的の増税根拠も空文化。このカラクリに財政健全化を国際公約し、財務省・日銀の支えを恃む安倍政権の企業第一体質が読み取れる。
社会保障改悪メニューは、〈医療〉では70〜74歳の窓口負担を1割から2割に、〈子育て〉では株式会社の参入を促進、〈介護〉では要支援1と2を保険給付の対象から除外、〈年金〉は支給開始年齢を引き上げるなど、血も涙もないプランが並ぶ。
「後代につけ回しはしない」を名目に、短期の改革は「消費税の段階的引き上げ期間」に実行すると提言した。
|