今臨時国会は「成長戦略実行国会」(10月15日の安倍首相所信表明演説)のはずだったが、すっかり「戦争準備実行国会」に変質してしまった。11月27日、日本版NSC(国家安全保障会議)設置法が参議院本会議で自・公・民・みんな・維新の賛成多数で成立し、翌28日には特定秘密保護法案が参議院で審議入りした。国民世論を無視し、12月6日の会期内の成立を急ぐ政府・与党。その焦りから石破自民党幹事長は、自身のブログに市民のデモを「テロ行為と変わらない」と書き込み、本音をさらけだした。さらに、米国頼りの領土問題の不始末は中国を防空識別圏設定へとエスカレートさせ、米軍普天間基地の辺野古移設問題では沖縄自民党を賛成へ追い詰めるなど、安倍政治は正気の沙汰ではない。
日本版NSC法は12月4日に施行され、直ちに4大臣(首相、官房長官、外相、防衛相)会合が開かれた。トップ議題は中国の防空識別圏設定に対する対処方針だ。飛行計画の提出を求める中国に対し、米国は日本への通知抜きで軍機と民間機を区別し、民間機の計画提出を容認した。慌てふためいたのは、自衛隊機も民間機も計画の提出は不要とする日本。谷内安全保障局長とライス米大統領補佐官とのホットラインを設定。鳴り物入りで就任したケネディ米駐日大使は「日本の防衛政策の進化を支持する」と日本の戦争準備策を歓迎した。
特定秘密保護法案は日本版NSC法とセット。何が何でも今国会で成立させたい与党の石破幹事長は「決める政治は確実に実行されつつある」と自賛したが、「決める政治」の結末は独裁政治にほかならなかった。
特定秘密は各省内規に基づく「特別管理秘密」約42万件が基本。法律ができるとどうでもいい情報まで官僚によって「極秘」の判が押されかねない。何よりもジャーナリズムから市民までが、「物言えば唇寒し」と自粛していくだろう。
独立・公正な立場で検証・監察する第三者機関は形骸化し、法律が独り歩きし、言論弾圧社会を招くだろう。
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